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29話――身体を求めて三千里①

 ミスタードッグスコーヒーは、ラウワで何個もお店を出しているチェーン店だ。最近はラウワ以外にもお店を出しているようだし、一口にスタドって言ってもどこかは分からない。

 ……んだけど、私達を呼び出すってんなら一つしかない。


「館のすぐそばのここでしょうねぇ」


「まぁ、ボクらを呼び出すわけですからね」


 翌日の私達。大きなため息をつきながら……動きやすい格好でスタドの前に立っていた。髪を一つくくりにして、スキニージーンズ。気温はそんなに低くないので、上はシャツにカーディガンを羽織っている。

 カーリーはいつものローブ姿ではなく……黒ストに白いショーパン、サスペンダーを付けて黒いTシャツと、黒いキャスケット。

 なんでそんな真っ黒なのか。


「さて、どんな感じで来るかしらね」


 屋敷で寝ているレイラちゃんを除き、ユウちゃんもマリンも遠巻きに張っている。どうあがいたって私たちをどうこう出来ないとは思うけれど……それでも、用心するに越したことは無い。

 なんてったって、今回私達に手紙を出したのは――


「――まず間違いなく、私の身体に入ってるイザベル(真)でしょうしね」


「そうですね」


 私は、普通の村娘としてこの世に生を受けた。普通に生きて、普通に死ぬはずだったのに……こんな無茶をするようになったのは、カーリーによって入れ替えられたから。

 この体の持ち主にして、悪役令嬢『イザベル・アザレア』と。


「……そりゃ怒って突撃してきて然るべきなんだけどねぇ。どんな子なんだっけ」


「ボクの知ってる彼女は、怠惰なくせして八方美人。自分磨きは出来るけれど、それは成果が出る物に限る。あとはオシャレ好きで贅沢好きって感じですかね」


「総じて、庶民生活に向かないわね」


 嘆息。だからこそ、意地でも貴族としての生活を取り戻すために……一週間もすればラウワに戻ってくるモンだと思っていた。私の家からなら、徒歩でそれくらいだから。

 それなのに音沙汰がないから、てっきり諦めたか死んだかと思ってたのに……。


「生きて、こんな手紙を出してくるんだもの」


「彼女じゃないって可能性はありますかね」


「無いでしょうね」


 まず私とカーリーとレイラちゃんじゃない……って時点で、相手の知っている『秘密』が『転生していること』では無いということが分かる。

 そして私だけ……もしくは私たち五人では無い時点で、貴族としてやっている数々のグレーなことについて言及しているわけでもない。

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