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27話――アブサン~のんべ竜③

「しかしワシの雇い主はどうしても確かめて欲しいとぬかす。それで怪しいと思って本人に会いに行ったら……肉体に魔道具を埋め込んだ、『改造人間』とやらがワシに襲い掛かってきたんじゃ」


「『改造人間』が!?」


 ということは……マングー以外にも、既に『組織』に乗っ取られていた領地があるということ。確かタガーニの貴族だったわね。


(じゃあもうタガーニは……?)


 でもマングーの時と同じように、他の人間の介入によって平穏が戻ったのか。分からないけれど、取り合えずこの人はその時に『組織』を知ったと。

 そして……私もそうなんじゃないかと思ったと。


「だ、だとしたら……自分から『組織』っていうわけないじゃない」


「全員殺せば、誰も聞いてないのと同じじゃろう?」


「……それなら、『組織』の『改造人間』が、私を調査する依頼を出すわけ無いじゃない」


「派閥争いか何かじゃろうと思ったんじゃが……」


 そこまで言って、やっとジルは殺気を収める。


「確かに、ここまでくるとおぬしが『組織』と繋がっていないと考えた方が良いじゃろうな。悪かったのぅ」


「……お父さん、本当に大丈夫なの? この方がイザベル様本人なら……じゃあなんでいきなりお父さんと殴り合えるようになるの」


 ちらっと私を見ながら言うアビゲイル。そんなこと言われても、私が強いからとしか言いようがない。

 説明出来ることがあるとすれば……と思っていると、そのタイミングでカーリーがお代わりのお酒を持って入ってきた。


「お待ちどうさま――ってなんですかこの空気」


「あ、カーリー。どうも私が『組織』なんじゃないかって疑われてて。そうじゃないなら、なんでいきなり強くなったんだって」


「あー……」


 私が簡単に説明すると、彼女は少し思案するような表情になってから……指を鳴らした。すると、アイマスクをつけてないとキャップをかぶって丸くなっているレイラちゃんが私の真上に現れた。


「っと」


 私が彼女をキャッチすると、カーリーがパジャマ姿の彼女をジル達に紹介する。


「彼女は狂える天災錬金術師マッド・ディザスター・アルケミストです」


「ああ、あの……」


 ごくっと生唾を飲むアビゲイル。……その名前で分かるのね、ジルの方は頭にはてなマークを浮かべているのに。

 しかしカーリーがレイラちゃんを連れてきたおかげで、なるほど言い訳しやすくなったわね。

 私はコホンと咳払いして口を開く。


「彼女が私に力の使い方を教えてくれたのよ」

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― 新着の感想 ―
[一言] レイラに押し付けた、全然違うというわけじゃないけど。 やはり何人かこういうネームバリューがあると便利でやり易い。
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