27話――アブサン~のんべ竜②
取り敢えずユウちゃんが自身の素性を明かしたことで私が目的の人物だと知った二人は、なんというか目を見開いて露骨に驚いた。そして……スッと警戒度を上げる。まるで私が、何かヤバい人物だとでも言わんばかりに――
「って、もしかして私が入れ替わったとでも思ってる? それこそ、『改造人間』とでも」
――半分冗談のつもりでそう言ったが、二人は何も言わずじっくりと私を観察するばかり。マズイ、さっきまでの空気から一変して……本気で殺ろうとしている目じゃない。
「……なんでそれを知っておるんじゃ?」
「なんでも何も、私が既に二体は殺してるからよ。『改造人間』を」
私の答えに、さらに疑問を深める二人。言われてみれば……いきなり両親が代替わりして、その跡継ぎになった女性が異様な実力者。
これって確かに、『組織』がやろうとしていることそのまんまね。ガーワンの事件だってあったし。
私の背後ではユウちゃんもマリンもしっかり警戒度を上げている。
「ガーワンの件で、他領地に雇われた冒険者ってアンタだったのね」
横にいるアビゲイルも、さっきまでの恐縮した雰囲気を消している。そりゃそうか、目の前にいるのが『組織』の『改造人間』だとしたら……油断がそのまま命取りになるからね。
私の問いに、ジルはゆっくりと口を開く。
「最初は……マータイサの領地騎士団に超級相当の人物がいるという話じゃった。しかしすぐに、マータイサには領地騎士団が無いという話が出て……その場ではお流れになった」
その通り。あの後すぐにロットに働きかけて、マータイサには領地騎士団が無いという話を第一騎士団内で共有してもらった。いろんな都合があって、領地騎士団に団員はいないけど領地騎士団はあるって状況だったからね、マータイサは。
それで領地騎士団はあるけど、騎士はいないっていう話をロットに共有してもらったので……最終的にその疑義は晴れたのだ。
「しかし、今度は超級相当の冒険者を騎士団ではなくメイドや執事で扱っているんじゃないか? と、ワシに依頼してきた人物は思った。しかしそれはルールに違反しとらんし、やっている領地も無くはない。公然の秘密というヤツじゃな」
そうなの? という目でユウちゃんを見ると、彼女はこくんと頷いた。なるほど、そういう抜け道があるのね。……言われてみれば、私はそんな感じで超級並みのカーリーを雇ってるんだから……そんなものか。
私がジルに視線を戻すと、彼は大きく息を吐いた。あまりにも肺活量が凄すぎて、グラスがちょっと動く。




