4話――暴れん坊悪役令嬢②
「格? はっはっは、別に悪党かどうかはさておいて……このラウワの支配者の一人、オルカ・ホーストライプ。私に逆らって無事に帰れると思わぬことだ!」
「支配者ぁ!? 支配者は領主であるこの私一人に決まってるでしょうが!! ――閻魔様の作った地獄じゃ生ぬるい。この私が直々に、アンタたちを地獄に叩き込んでやる! エンベッド!」
私が指を鳴らすと、部屋の靄が手元に集まる。
「な、なんだ!?」
「クスリが……!?」
驚愕に顔を染めるオルカたち。彼らが怯んだ隙に、私の魔法は完了。麻薬は煙の魔物となって、私の使い魔になった。
名前は『ラリー』にしようかしら。
「久々ね、使い魔を増やすなんて。ラリー! こいつらを叩きのめすわよ!」
「らりらり!」
私はオルカをめがけて一直線。ラリーと共に殴りかかる。
「っとぉ!」
「おお、マリン! 死なない程度に痛めつけてやれ!」
間一髪、マリンが私とオルカの間に滑り込む。私は舌打ちして、彼を一喝した。
「あんた! いくら親でも、こんな蛆虫庇い立てする気!?」
腹を思いっきり蹴り飛ばす。しかし如何に最強の肉体を持っとはいえ、喧嘩は素人。簡単に止められてしまった。
すぐにアクアとフレアで迎撃を――と考えていたら、マリンはポツリと呟いた。
「逃げろ。あんた一人ならなんとかなんだろ」
私だけに届くギリギリの声量。罠では無さそうな真剣な雰囲気で、一瞬呆ける。
「……あんたは親父の恐ろしさを知らねぇ。楽に死ねないぞ」
まだ倒れているカーリーを見る私に、マリンは首を振った。
「あっちは助けられねぇ。早く行け」
「お生憎。はなっからもうブチのギーレェなのよ。ここで逃げる手は無いわ」
私は膝蹴りをマリンに打つと、やはり止められる。彼はこちらに軽いパンチを出しながら、若干辛そうな顔をするが……私の意思が固いと悟ったかため息をついた。
「……後悔しても遅いぞ。オレはもう助けねえからな」
「上等よ。どっちが悪役か思い知らせてやるわ」
私が思いっきりハイキックをぶちかますと、マリンはそれにわざと当たってふっ飛ばされる。そして壁にあたって、気絶したフリをした。
「ま、マリン!? おのれ、お前を作るのにいくらかかったと思っている! ……仕方あるまい、出てこいジェイソン!」
不穏なセリフと共に、パンパン手を鳴らすオルカ。
すると部屋の奥……死屍累々となっている女の子たちの間を割るように、腕くらい太いピーーーを股にぶら下げた筋肉ダルマが出てきた。
「キモっ!」
服は着てないのに何故か、顔に紙袋を被った大男。全身の血管が脈打っており、見ているだけで吐き気を催しそう。
「ふはははは! ゆけ、組織の最高傑作の一つ! 13ナンバーズの一人、ジェイソン!」
組織って何よ最高傑作って何よ!! ここにきて新情報を出さないでくれる!?
「ごばばばば! いい女じゃねぇか……これならオイラが突っ込んでも壊れそうにねぇなあ!」
「セリフがやられ役のそれなのよ! ってかカーリー! そろそろ起きなさいよ!!」
「面白い!」、「続きを読みたい!」などと思った方は、是非ブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!
していただいたら作者のモチベーションも上がりますので、更新が速くなるかもしれません!
是非よろしくお願いします!




