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26話――DRAGONTAIL③

 彼女は欠伸をしながら執務室に入ると、私に蝋燭を二本投げる。


「イザベルさん、これ例のブツですー」


「あら、ありがとう。……何かしらこれ」


 私は彼女に『何か新事業に使えそうな魔道具とか作れない?』と聞いていた。悪人で人工ダイヤモンドを作りたいという欲求が、比較的何度も叶えられて機嫌が良かったレイラちゃんはそのお願いを快く聞いてくれていたのだ。


「まぁ取り合えず火をつけてみてください。左側の方は普通の蝋燭です」


「了解」


 私は普通の方の蝋燭に『エンベッド』して使い魔を呼び出す。名前は『ランプ』、灯りの使い魔だ。蝋燭を模したお化けみたいになったランプは、口から火を噴いてもう一本の蝋燭に火を灯した。

 揺らめく火が、妖しく光る。私はそれを思いっきり振ってみるが――炎は消えず、ゆらりと燃え上がった。


「というわけで、消えない蝋燭です。魔道具ですね」


「普通って感じねぇ」


 私が言うと、レイラちゃんは指を振りながらニヤリと笑う。


「仰る通り、今までの技術でもこれは余裕で可能だったんですけど……こちら何と、魔力を補充する必要が無いんですねー」


「えっ!? 魔道具なのにですか!?」


 隣で聞いていたカーリーが驚いて声をあげる。魔道具は魔力を補充する必要がある……っていうのは知っていたけど、そんなに驚くようなことなのかしら。

 なんか魔石? みたいなのを嵌めれば動くとかなんとか聞いた事あるけれど。

 そのすごさにいまいちピンと来ていない私に、やれやれとレイラちゃんが説明してくれる。


「簡単に言っちゃえば、魔道具っていうのは『自分の魔力で使う』か、『魔石で使う』の二種に大別されます。廊下とかに置いてある魔道具の蝋燭なんかは魔石がはまってます」


「あら、そうだったの」


「ボクが切れたら替えてます。要するに魔石は電池で、そうじゃない奴はコンセント形式です」


「ユウさんの『ディグ・シーナリー』みたいに両方の形式で使うやつもありますけどね」


 なるほど、それは分かりやすいわね。ってかゴブリンキングからぶんどった後、ユウちゃんが使ってる剣……そういえばそんな名前だったわね。

 取り合えずこの蝋燭は、そのどちらも必要ないと。


「ワイヤレス充電方式ってあるじゃないですか。あんな感じで周囲に漂う残留魔力を吸収して魔力を補充することが出来る魔石が組み込まれてるんですよ」


「技術革新にもほどが無いかしら。実質的に無限に使い続けられるってことじゃない?」


 私がちょっとほほを引きつらせながらそう言うと、レイラちゃんは少し不服そうに首を振った。


「永久機関が作れたらそりゃ良いんですけどね。補充するごとに、最大補充量が減っていくんですよ。リチウムイオン電池みたいなものです」

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