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26話――DRAGONTAIL②

「だから一番良いのは、大きい商会のどこかを取り込むことなんだけど……無理よねぇ」


 カムカム商会は大きかったけど、裏の商売を全部潰しちゃったから……その時に完全な反社は殆ど捕まえちゃったのよねぇ。

 今のカムカム商会の主な事業は、まともな金貸しと娼館、合法な範囲内での奴隷商。その他にも細々とやってるけど、まともに利益が出ているのはそれらくらい。

 人数だけなら(時給や日当で働いている子を除けば)全部で百人くらい雇っているけど……騎士団を雇うための箱としてはねぇ。


「でも千人も雇ってる商会なんてありませんよ。マータイサで一番大きいトストン商会ですら八百人くらい、大きい商会の中でも小さめのラピスラズリ商会だと三百人くらいじゃありませんか?」


「いや、カーリーさん。ラピスラズリ商会は……なんかつい最近、とんでもない才能を持ったデザイナーが入ったとかで、もう少し大きくなったはずッスよ」


 事情通のマリンが訂正してくれる。それにしてもデザイナーってことは……服飾系の商会なのかしら。

 相変わらずその手の話題に疎い私に、マリンが苦笑しながら教えてくれる。


「ラピスラズリ商会は、元は宝石商からスタートしてる商会っス。今はアクセサリー全般と、ドレスとかの衣類。何にせよ高級志向で、貴族や商会の長なんかが奥さんのために買ったりと。今一番勢いのある商会なんじゃないッスかね」


 どうでもいいけど、宝石商で名前がラピスラズリとか……無茶苦茶縁起が悪いっていうか、破滅させられそう。魔が巣にしてそうなスナックでも作ろうかしら。


「ほとんどの大きい商会は、商会ギルドの幹部っていうか……だいぶ出資してるッスからね。それこそラピスラズリ商会とかみたいな新興の所以外は、だいたいそうッスよ」


「……そういえば、商会ギルド。そっちも出血の原因だったわね」


 彼らとの会話で、もう一つめんどくさい出血要因があったことを思いだした。と言っても、結局のところ騎士団が無いとどうにもならないんだけど。


「領法が少ないって話したわよね? だからマータイサって他の領地に比べてギルドの権威ってか影響力が高いのよ」


 ギルドが力を持ち過ぎないようにバランスをとるのも、領主の仕事だ。特に……流れ者ばかりで構成される冒険者ギルドと違って、商会ギルド、商人ギルド、輸送ギルドなどのインフラに関わる物は、ある程度こっちも影響力を持っておかないといけない。

 相互扶助を理念に置いているギルドが多いから、あんまり貴族が口出しするのは良く無いんだけれど……独禁法なんて無い世界だからね。公・民でバランスをとらないと平然とモラルハザードが起きる。


「そうですねー。そのせいで……例えばマネシでは一部のお酒がとんでもない額まで値段吊り上げられた事件とかありましたからー」


 そう言いながら入って来たのは、レイラちゃん。最近は悪人をダイヤにする機会が減っているからか、普通に錬金術の研究がはかどっているようだ。

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