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25話――MMR~マジで無敵な領主たち~⑦

 身もふたもない反応をするマリン。彼の言う通りの可能性も高いけど……まぁ、そうはなっていないことを祈りたいところね。

 しかし、だからこそ私たちは他にやるべきことがある。


「いったん、入れ替われるって前提で話すわよ。現状、王族と入れ替わられるのが最大の問題。そして……このことが市民に広がるのが次の問題」


「入れ替わってる可能性があるって市民にバレることがマズイんですか?」


 私はカーリーの問いに頷く。


「騎士団と貴族、全部合わせても全国民の一割にも満たないわ。残りの九割が、貴族に不信感を抱けば確実に国内は荒れるわ。フランス革命は結局のところ貴族と貴族の争いだったけど……『組織』が煽動すれば、それに似たようなことが起きないとも限らない」


 要するに、殆どの人は『貴族は貴族だから』みたいな理由で貴族の地位を担保されている。いうなれば社会的仕組みに違和感を抱かない人で構成されているから、貴族は貴族でいられる。

 当然、貴族が貴族でいることに理由は別にある……んだけど、逆に言えばそういうやつらに『社会構造への疑問』が芽生えてしまえば革命の機運は高まってしまう。

 そして、貴族が異常な『組織』によって乗っ取られかけているうとなれば……それは十分、『社会構造への疑問』になりうる。


「『組織』が何を目的としているのかは……結局、フレディへの拷問でも分からなかったからね。だからまず、最悪の可能性を潰す。最悪の可能性っていうのは、王族との入れ替わりと、貴族と入れ替わったことをバラされて民衆を煽動されること」


 前も言ったけど、仮に潰しにかかっても裏に深く深く潜られるだけだから、本格的にやるなら国家を動員する必要がある。そして、今の段階……つまり目的が見えてこず、せいぜい金儲け程度しかしていない状態じゃそれが出来ない。

 摘発出来ない間に、国家を乗っ取られちゃたまったものじゃないから、私たちは出来る範囲で動く必要がある。


「ってなわけで、ロット。アンタは王子の側近になりなさい」


「えっ、いや王子の側近って……あれは相当難しいっていうか、剣の腕だけじゃなくて執事としての技術も必要なんですよ!?」


「でもアンタ、原作だと王子の側近じゃない。――それとも何? 今世じゃ好き放題やりたいから、学院に入ったタイミングで騎士をやめて気ままに生きようとでも思ってたの?」


 私の指摘に、ギクッと書き文字が出そうなほど肩を震わせるロット。なるほど、確かに転生したんだからあんな面倒ごとに巻き込まれないようにさっさと冒険者になろうっていうのは分からなくもない。

 分からなくもないけれど、ここで私と会ったのが運の尽きね。

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