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25話――MMR~マジで無敵な領主たち~⑥

「預言書……?」


 私は原作ゲームを全クリしてるし、カーリーとレイラちゃんもそう。

 話を聞いてる感じ、ロットはアニメのみかしら。


「この世界の未来……というよりも可能性について書かれた預言書ね。ロットは一種類、私は十種類くらいかしら」


「……原作全ルートやったんですね」


「結構面白いのよ」


 まぁ今はそんなことは良い。


「預言書……で、では祖父のこの事件もお二人は知っていたということですか!? だからイザベル様は昨夜あんなに堂々とされていたんですか!?」


「いやそれは無関係ね。その預言書、別の人の視点で書かれてる上に来年以降のことしか分からないから」


 私達が学園に入って、王子が卒業するまでの大体二年間ほどのゲームだからね。エピローグまで含めたらもう少し長い期間見れるけど、あくまでエピローグ。年表形式のヤツもあるからあんまり詳しくは見れない。

 ってか、この世界が来年にはアイドルが踊って色々決める世界に本当になるのかすら怪しいわよ。


「だから今は殆ど意味ないわ。強いて言うなら預言書に出てくる人間のいどころが分かるくらい」


「なるほど……。ではイザベル様は限定的に未来のことが分かるということですね」


「限定的な未来の可能性、ね」


 私がここにいる時点で原作のイザベルとはかけ離れた性格になってるしね。


「昨日の夜はガーワンの体に、改造人間が吸い込まれて取り込まれていったわ。逆に取り込んで能力の代わりに容姿を奪えるとしたら?」


 この考察に、ゴクリと生唾を飲み込む皆。見た目だけと言われるかもしれないが、全く同じ容姿、声がさえあればそれ以外はいくらでもごまかせる。

 記憶や仕草なんて、よほど近しい人じゃないと気づかないし……。

 よって、ここから考えられる結論は――


「つまり! 『組織』は王族に転生して、この国を乗っ取るのが目的なのよ!」


「「「「な、なんだってー!?」」」」


 カーリー、レイラちゃん、ロットと転生組が期待通りのリアクションを取ってくれる。アンタ達ノリがいいわね。

 ただそれだけじゃ説明が足らないので、私はコホンと咳払いする。


「今回のガーワンみたいに、子どもや孫も人造人間に取り替えちゃっておけば近しい人すらいなくなる」


「家ごと……乗っ取るってことかい、女神。こほん、イザベル様」


 ちょっと素が出るユウちゃんなんて、珍しい物が見れたわね。


「背乗りって言ってね、とある国じゃポピュラーな犯罪よ。家人に取り入って家に潜り込み、家人を奴隷化して乗っ取る。ガーワンの一件、細部は違えど大まかには似てるでしょう?」


 本来家督を継げる立場に無かったはずのガーワンが、兄を殺して乗っ取る。そしてその後は傀儡の子を作る。

 そこまで信頼させてから、『組織』は改造人間にしてしまった。


「ホントは改造したあとに思想でも弄るつもりだったんでしょうね。でもこれを王族相手に出来たとしたら、この国の乗っ取りだって出来ちゃうわ」


「そ、それが本当なら急いで国に周知しないと!」


 大慌てで立ち上がるガースリー。しかし私はその首を掴み、座らせた。


「ぐえっ」


「バカ言ってんじゃ無いわよ。伯爵家が乗っ取られてたのよ、他の貴族が乗っ取られていないとは限らない。……私達がそれに気づいていることに勘づかれて、対策を取られたらどうするの」


「……ま、手遅れの可能性も高いッスけどね」

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