25話――MMR~マジで無敵な領主たち~②
私の素っ頓狂な声にギョッとするガースリー。私の反応を「なんだそれは」という感情からくるものだと勘違いしたのか、ロットは咳払いして首を振った。
「いえ、すみません。こちらの話です」
……ふむ、これに関してはもう少し泳がせてからツッコミを入れた方がいいわね。
取り合えずアニメについては言及せず、ロットの話を聞く。
「……それで、ですね。マングーの領地騎士団の方に聞くと、昨夜自分たちが倒されたのはイザベル様だと。そして……隣の山の中腹で死にかけていた騎士が今朝発見されているのですが、その方も『イザベル様に逆らったせいだ。自分が生きていたのは運がいいだけだ、もう二度と彼女に逆らおうとは思えない』と完全に心が折られていて……」
「ぎ、ギルバートさん……」
顔を覆うガースリー。うーん、私たちが眠っている間に色々と裏がとられていたのね。流石にそれは予想だにしていなかった。
というかそんなに怖がられているのね。別に殺そうと思って蹴ったわけじゃないのに。
「これについて、イザベル様は?」
「た、たまたまですわ。たまたまわたくしの手が当たってしまって、転んでしまったことを大袈裟に仰っているんでしょう」
「二級以上の実力を持つ騎士が、腹に穴が開いた挙句山に埋まっていたんですよ。どういう偶然が起きたらそんなことになりますか?」
「風が吹いたんですわ」
「風でそんなことになるわけないですよ!?」
なんというか、ゲーム本編で見た感じの性格と違うわねぇ。苦労人な感じがするわ。
まぁ私は咳払いしてから、小首をかしげてみた。
「まぁ、それはそれとして。仮にわたくしが超級並みの実力があったとして、騎士団では無いんですわ。何かマズイことがありまして?」
「……そう、そうなんですよね。ですからそれに関しては戻ってから検討になるんですが、その前に。もしも貴女が……超級並みの戦闘を繰り広げたのだとしたら、超級並みの戦闘力を持つ敵がいたということになります」
……言われてみれば、そうなっちゃうわね。
「それで?」
「……戦っていたのは、どなたですか? 場合によっては、本部からの応援が必要になります」
ああ。
目の前にいるロットは……まぁ強いんでしょうけど(ゲーム本編やアニメではダンスの実力者として描かれていたし)、一人で超級並みの人を抑え込む自信は無いってことね。
だからもしそんな奴がいるなら困るから教えて、ってところかしら。




