25話――MMR~マジで無敵な領主たち~①
「もっともポピュラー且つ、領地騎士団を編成するにあたって絶対の条件です。私はそれを確認するために、ここに残りました。……まさか、ご存じ無いとは言いませんよね?」
念を押すように言うロット。……どうしよう、ヤバい本当に知らない。
とは言えず、私は後ろのカーリーに目配せする。すると彼女も眉に皺を寄せた。待って、あんたが知らなかったら私は知るわけないじゃない。
私たちが困惑していると、ガースリーが前に出た。
「ロットさん。確かにその法律はイザベル様もオレも存じています。故にレギオンホース家もアザレア家も、超級を超える騎士など雇っておりません」
強気に言い返すカーリー。確か、レギオンホース家で一番強いのはギルバートで……二級以上、一級以下くらいの実力だったわね。
そして我が騎士団で一番強いのはユウちゃんだけど、彼女は(武器を持っていなければ)一級相当の実力だし。ルールは破ってないわ。
私、騎士団じゃないしね!
「そうですわ。わたくし共に、そんな実力などとても……」
「いえ、だから困っているんです」
私の言葉を遮り、滅茶苦茶めんどくさそうな声になるロット。貴族の前でこの態度って、ある意味大物ねこいつ。
「……まず、魔法使いは実力を測りづらい。遠距離からであれば超級並みの魔物を倒せたとしても、超級認定出来るかは怪しいですから。よってカーリーさんは、超級認定しづらいです。……私の見た魔法使いの中で、彼以上がいるとは思えませんが」
カーリーはふんと胸を張る。可愛いわねぇ、男の子と思われているけど。
……でもロットがどれだけ言っても、私は彼女以外の魔法使い見たこと無いし、あんま凄さが分からないのよねぇ。頼りにはしてるけど。
「そしてそちらの執事の方は……一級、というところかと思います。領地騎士団にいたら驚くレベルの実力者ですが、不思議ではありません」
そこまで言ったロットは……本当に辛そうな、というかしんどそうな顔で私の方を見た。まるで化け物をみるような、勝てない何かを見るような目で。
「……口をそろえて言うんですよ、皆さんが。『昨日の夜、身の丈の十倍以上あろうかという化け物をイザベル様が蹴り倒していた』と」
……あら、目撃者いたのね。
まぁ夜会があったし、普通に泊まってる方とかいたもんね。
カーリーのジト目が痛い。いやそんな顔されても、あの状況だと仕方が無かったじゃない。
私はそっぽ向いて、窓の方へ歩き出した。
「集団幻覚でも見られたんだと思いますわ」
「いや集団にしてもおかしすぎますから。……アニメの活躍見てたらそれが出来ないとも思わないですけど……」
「アニメぇ?」




