24話――大乱闘のあとしまつ①
というわけで、翌日。
しっかり十時間睡眠をとった上で(レイラちゃんは徹夜でフレディに拷問を施していたらしい)、私達はガーワンとガーツーを騎士団に引き渡すために待機していた。
ちなみに昨晩の戦闘は……当然ながらガーワン邸宅に泊まっていた貴族や商会の人間にはバレバレで、『どうもマイターサには超級に匹敵するバケモノが複数人いる』という噂が広まっているらしい。誰がバケモノよ。
「いやー、タガーニにはかなり強い超級の冒険者がいるらしくって、昨晩中にその人が呼ばれたらしいですよ。ドラゴンの襲来に違いないってことで」
……と、カーリーは呆れたように言っていた。昨晩中にって……どんな方法でそんなモン呼んだのよ。
まぁ、別に私たちは魔物ではないので討伐もされないし気にする必要も無いか。
「姐さん、来たみたいッスよ」
マリンに言われて外を見ると、馬車が到着していた。中からは三人のスーツを着た男と、帯剣した騎士が三名。
スーツの男たちはちょっと着崩れしており……大慌てで来たんだろうなぁということが伝わってくる。
「まあ貴族の犯罪なんて、捕まえたくないでしょうし……ボクらは別に気にしませんけど、一部の貴族はそもそも国の騎士団に難色を示す人もいますからね」
騎士団には軍備を担う第一騎士団と、犯罪の取り締まりなどを担う第二騎士団がいる。要するに軍隊と警察ね。
そして今回は大物も大物だから……第一騎士団と第二騎士団の文官のトップが来たそうだ。武官と文官でそれぞれトップがいて(武官の方は団長、文官の方は長官と呼ばれているらしい)、今回は第一騎士団長官と第二騎士団長官が来たようね。
それと三人目は……確か、議員の一人だったかしら。
「おや? ディラン氏じゃないか。彼も難儀だね」
「あら、ユウちゃん知ってるの?」
議員の一人を窓から見たユウちゃんが笑みを浮かべた。議会は領主を務めていない貴族から選ばれる。彼女は貴族の三女だったわけだし、親交があっても不思議じゃないか。
私の問いに、彼女は頷く。
「ディラン・コックス氏。僕がまだリリックスワイル家にいた頃、よく父に挨拶しに来ていたんだよ」
あら、お父さん繋がり。
「コックス家の次男だったんだけど……いつの間にか、議員を務めていたんだね。ふふ、まぁ苦労人は変わってないみたいだけど」
クスクスと笑うユウちゃん。なんというかまぁ……次男とかって気遣いしないといけないから、苦労人ポジになりがちよね。




