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22話――討滅のイザベル③

 片腕で地面を抑え、足を振り上げる。足を百八十度振り上げたハイキックが、ガーワンの振り下ろした手のひらに直撃した。

 普通の生物なら首から上が蒸発するような威力。しかし――ここまで巨大化したガーワンが相手だと、手を跳ね返してはバランスを崩させるだけ。

 それどころか、今の衝撃で体をさらに巨大化させた。


「ぬうっ!」


「んのッ……! 痛いわねぇ……!」


 足に響く痺れと痛み。私の身長は163センチ、体重は120キロ。普通の女の子と比べると、筋肉の分ほんの少しだけ重たいけれど……それでも、六十メートル以上ある化け物と比べたらどんぐりの背比べ。この重さと真っ向から力比べしたら、私が負けるのは道理。

 それどころか……


「つぅ……」


 足がズキンと痛む。たぶん、ちょっと捻った。

 普通に歩いたりする分には問題ないけど、軸足にして蹴ったりするのは厳しいわね。

 私は足を押さえながら顔をあげると、そこではガーワンが何かを悟ったようにぶるぶると震えていた。



「そ、そうだ……私は何者だろうと全てひれ伏せさせる力を手に入れたんだ……! なんだ、簡単なことじゃないか! 手加減せず、捻り潰してしまえばよかったんじゃないか!」


「頭悪そうなこと大声で喋ってんじゃないわよ!」


「知ったことが!」


 膝立ち……というか上半身だけ軽くあげた状態になり、腕を振り下ろしてくるガーワン。

 目が潰れ、小指が折れ、両足が砕けてるってのに元気ね。


「って、言ってる場合じゃないわね!」


 まるでモグラ叩きのモグラにでもなった気分。なんて言ってる場合じゃない。片足ケンケンと腕で……カポエイラみたいな動きで回避する。


「うわっ、とっ、このっ」


「チョコマカ動くな! ふはは、捕まえたら嬲ってやる! どうか殺してくださいと懇願するまで追い詰めて、犯し尽くしてやる!」


 ガーワンの動きは、まるで癇癪を起こした幼児のよう。ただそれをこんなサイズでやられると、それだけで地面が揺れる。


「どうしようかしらね!」


 今度から絶対、戦う時はパンツスタイルになろう。ドレスを破って戦うと、身体能力の強化という点では問題無いけど……防御力が少し弱くなるし。でもまさか、イザベルの肉体で足をくじくとはね。

 まぁ過ぎたことを悔やんでも仕方ない。皆は向こうでフレディを穴に落とす作業で忙しいでしょうし、自力でどうにかするしか無いわね。


「……まぁ、全力で飛べば飛び蹴り一発くらい出来るかしら」


 その後の着地が心配だけど……あの巨体を一撃で倒せるかしら。

 そこまで考えたところで、はたと思い出した。敵を一発で昏倒させられる技を。

 ぶっつけ本番だけど、この肉体なら余裕でしょ。

 なにせ原作最強の肉体なんだから。


「オーブリー……オーブリーィィィィ!!」


 吠えるガーワン。会ったことも無ければ実の親でもない人間の恨みをぶつけられてもねぇ。

 そう思いながら、私は無事な右足に力を込める。

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