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19話――突撃! 隣の悪役令嬢!⑤

「……どういうことよ。アンタ、ブーディカやジャンヌ・ダルクを知らないの? 全員、ガッツリ前線で戦った女傑よ!」


「いやあの、イザベル様。ブーディカは女王ですしジャンヌ・ダルクは村娘です。貴族女性とはまた違いますし、そもそも元の世界の英雄を持ち出しても」


「あのね、女神は知らないかもしれないけれど……貴族の女性の戦いとは政界やサロンでの情報戦であって、武装して斬り合うことじゃないんだよ」


 情報戦って……。


「今ちゃんとそれもやってるじゃない」


「脅迫に対して別の弱みを握って強請り返すことは情報戦とは言わないよ、女神」


 十分、情報で殴り合ってると思うんだけど……。

 なんとなく納得いかないけれど、ガースリーも赤ベコ並みに首を縦に振ってるので、そういう物なんだろう。取り敢えず私は腕を組み、鼻から息を吐いた。


「なんでも良いわ。重要なのは、ガーワンを蹴落とすこと。ちんたらやってたら日が暮れちゃう」


「もう夜ですよイザベル様」


 慣用句よ、慣用句。


「……いえ、イザベル様は分かっていません。祖父は本気で排除しに来ます。一切の妥協を許さず、精鋭を使うでしょう。せめてそれに対抗しうる軍を用意しなければ交渉の場にも立てないんです! 急ぐ理由はわかります。でもせめて準備を!」


 大きな声でそう言ってくるガースリー。しかしユウちゃんが私の前に出ると、首を振った。


「それには僕も、一理あると思うよ。しかしね……女神はすでにこの証拠を持ち出してしまった」


 そう言って写真を見せるユウちゃん。こっちの世界に写真は無いが、ちゃんと証拠になるんだろうか。


「僕らは余裕が無い。もし君が僕らと組まないのであれば……持ち出したことに気づかれる前に、告発するしか無い。それがどんな悲劇を生むかは分かるね?」


 さっきも言った通り、こんな写真が出回れば……困るのはガーワンよりもこの写真に写ってる人たちだ。

 でも私達は、これを表沙汰にして大騒ぎして時間を稼ぐしか無い。

 ガースリーはユウちゃんに言われたことを理解したのか、悔しそうに唇を噛んだ。


「つまり、あんたがさっきの案に乗らないなら、どうなろうと様々な人に被害が出る。でも、あんたが協力するなら人的被害が少なくなるわ」


 ガースリーは辛そうな顔をした後、首を振った。


「……そ、そうだ! そ、それこそマイターサの領地騎士団は呼べないんですか!?」


「マイターサの領地騎士団、一名を除いてここに揃ってるわよ」


 私が後ろの皆を示してそう言うと、彼はガックリと肩を落として地面に膝をついた。


「もうおしまいだ……この戦力で勝てるわけ無い……でもやらないと、たくさんの人に被害が……しかし……」


 失礼ね。私達が負けるわけないのに。


「ってか、もうここまで来たらオレらを裏切って向こうについても……よっぽど上手く立ち回らないといつか消されそうッスね」

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