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19話――突撃! 隣の悪役令嬢!④

 そんな私たちを見て、ガースリーはちょっと苦笑するが――すぐに険しい顔に戻り、顎に手を当てる。


「それに、医者はどうするんですか?」


「私の部下にお医者さんも出来る子がいるからモーマンタイよ」


「古いですよイザベル様」


 なんでこれが古いってアンタは知ってんのよ。

 さらにガースリーは、別の個所も指さす。


「でも! これでは仮に上手くいっても裁判に持ち込まれます!」


「それに関しても、ここまで動かぬ証拠があれば勝てるわよ。ってかむしろ『正気のままこんなことした』ってなるよりも、『耄碌して暴走してしまった』ってなった方が名誉も守られるし」


 しかしまぁ、写真が証拠になるかと言われると怪しいけど。こっちの世界写真が無いし。だから、たぶん『精巧な絵』で押し通す外無いわねぇ。


「じゃあ! ……じゃあ、祖父がこの場でオレたちを消そうとしたらどうするんですか? イザベル様は女性だから理解出来ないかもしれませんが……男っていうのは、ここ一番は暴力を使いますよ」


 真剣な表情、真剣な声音で――当たり前のことを言うガースリー。


「イザベル様、男は自分の立場が危うくなれば躊躇なく暴力を振るいます! 政治力や策略でどうこうなんてしません! もみ消せるなら、純粋な暴力に訴え出ますよ! おつきの方々は手練れなのかもしれませんが、たった三人でどうされるおつもりですか! 女だからって加減してはくれませんよ!?」


 男は手加減しない、ね。まるで私が普段から手加減されているような言いぐさね。

 私の前に立った男に、手加減なんてさせたこと無いわ。


「ガースリー? 女を舐めてんじゃないわよ。女だってここ一番、頼れるのは涙じゃなくて腕力よ! 女だって戦うのよ!」


 腕を組んでそう宣言する。男だから、女だからって甘えたことを抜かせるような場所に身を置いているだなんて思っていない。

 無論、私だって場合によっては『女である』ことを武器にすることだって検討する。しかしそれが既に武器にならない段階なんだから、考慮するに値しない。

 これは既に、領地をかけた生存争いなんだから。


「……あのね、女神。ガースリー君が言いたいのは『貴族の女性』だからってことだと思うよ? 僕だって冒険者になるまでは戦場に出たことは無いし、逆に彼だって戦場を駆ける女性兵士だって知ってると思うよ?」


 肩に手を置き、凄くなんというか……園児に声かけするような顔になるユウちゃん。

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