表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

124/312

18話――逆境フィフス⑧

 目当ての物が出てきたのに、感動が薄い。それ以上に腹立たしいし苛立たしい。

 私達を脅す材料以外の指示書もここにはある。こんなことが公になったら、失脚どころの話じゃない。恐らくだけど、この写真に写ってるのは奴隷じゃない。貴族も写ってる。

 だとしたら、国王陛下が知ればお家取りつぶしだ。この写っている貴族の子もろとも。


「こんな風評被害、外に出たらおしまいよね。普通の貴族なら」


 比較的新しい物が多い。老若男女とは言ったが……順繰りに見ていくと、何人か年を重ねながら拷問を受けている写真が散見される。そしていつしかその女性は、拷問をする側に。

 つまりこれ、脅されている人が拷問側もやってるっぽいのよね。


「……尋常じゃ無く、胸糞悪いわね」


 私が怒りに満ちたため息をつくと、ユウちゃんが眉に皺を寄せながら写真を眺める。


「……それにしても、精巧な絵だね。昔こういう絵を出力できる魔法を使う人がいたけど……」


「どういう理屈かはわからないけど、そこの機械で印刷出来るのよ」


 レイラちゃんが見れば分かるのだろうけど、取り敢えず一旦この技術の出どころは置いておく。

 ……どうせ「賢者の石」を盗んた「組織」が作ったんでしょうけど。

 私は取り敢えず証拠になる物をがっさりと掴み、この悍ましい写真群をどうするか考える。


「……考えるまでも無いか。取り敢えず持ち出すわよ」


「こ、この量を持ち運ぶのかい? 確かにここに置いておくべきでは無いと思うけど……僕ら四人だよ?」


 ユウちゃんが驚いたような顔になる。確かに彼女の言う通り四人でこの量を持ち運ぶのは大変たけど……。


「転移させれば良いわよ。カーリー、どうにか出来る?」


「……ボクには見せないくせに、こき使いはするんですね」


「出来ない?」


「何度も言わせないでください。ボクの魔法は――」


 カーリーはため息をつくと同時に、指を鳴らす。すると次の瞬間、私達の部屋に戻っていた。


「――魂すら入れ替えられるんですから」


 ドヤッとしてるけど、私が今ここで働いてるのはそうやってあんたが入れ替えたからだからね?

 とはいえ、取り敢えずあそこにあった証拠品や印刷機に関しては全部回収出来た。後はガースリーを説得するだけね。私は積み上がった書類を見ながら……拳を握る。


「ガーワンは、お願いだから無駄な抵抗をしてくれないかしら」


 いつの間にか手の中のペンがへし折れ、砂になっている。

 それを払って、私はニッコリと笑った。


「じゃあ、ガースリーの所に行くわよ。カーリー、お願いね」


 彼女に指示を出して、腕を組む。

 さぁて、どうやってガースリーを説得するかしら。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ