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18話――逆境フィフス⑦

 彼女が部屋をダンジョン化するとすぐに、本棚がまるで引き戸のように動いて通路が出来る。なんというか、非常に単純な作りね。


「妙に狭いと思ったら、こんな空間になってたのね」


「その辺もこの部屋に結界で違和感を覚えなくなってたんだろうね。……さて、カーリーちゃん。今のってバレると思う?」


 魔法の専門家であるカーリーに尋ねるユウちゃん。事後報告な辺り、私に染まっちゃってる感はぬぐえないわね。

 カーリーも似たようなことを思ったのか、軽くため息をついてから肩をすくめた。


「やっちゃったことをどうこう言うつもりも無いですけど、ボクなら気づきます」


「普通の魔法使いなら?」


「今の一瞬じゃ無理じゃないでしょうか。ただ違和感くらいは覚えたと思うので、ぐずぐずしていると『念のため』確認しに来た時とかにバレるかもしれません」


 じゃあスピード勝負ってことね。今までとあんまり変わらないか。

 ユウちゃんが先陣を切ろうとするので、それを制して私が前に出る。


「ちょっ、女神。何があるか分からないんだから僕が前に出るよ」


「だからこそよ。私って搦手には一切耐性無いけど純粋な暴力が相手なら一番硬いからね。正面から敵が来たら粉砕するから、それ以外の部分にしっかりアンテナ張っててちょうだい」


 まぁこの中に人の気配は無いし――偵察としてウインに先に行かせるけど。というわけで懐からウインを出して先行させ、私たちはその部屋の中に進んでいく。

 中はひんやりとしており、静謐な空間だ。しかし、中は異様な光景が広がっていた。

 何せコピー機とバインダーが置いてあり……そして勉強机のような物が置いてある。この光景だけなら――異世界ということを考慮しなければ――おかしいところは特にない。

 この部屋を異様、ないし異常たらしめているのは机の上に広がっているハガキサイズのイラスト。否、イラストと言うにはあまりに精巧すぎるそれ。

 この世界に無いはずの技術――写真、それも所謂女性と男性のまぐわいを写した物だ。

 その中の一枚を拾い、私は顔を顰める。


「ユウちゃん、ごめん。カーリーには見せないで。十歳で見るモンじゃ無いわ」


「ボク、一応二十年は生きてますよ? それに、オルカの所では見てましたし」


 確かに直接的なグロさ、エロさという点ではあれの方がひどかっただろう。でもここにあるものは……あの時とはまた違う醜悪さ。

 明らかに『脅し』に使うためのものだ。


「……女同士とか、男同士もあるッスね。逆に女から男を襲うヤツとか……うわ、これは酷え。なんなんすかね、この道具は――」


「マリン、せっかく見せないんだから全部言ったら台無しじゃない」


「――あ、すんませんッス」


 バインダーを見るマリンを注意し、私は軽くため息をつく。

 こんな胸糞の悪い物を隠してたとはね。


「……ああ、こっちには指令書。なんだ、ちゃんと私らをハメようとした証拠はばっちりね」

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