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18話――逆境フィフス①

「なんてことしたんですか! イザベル様!!!!」


 部屋に戻り、事情を説明するなり――思いっきり怒鳴る、カーリー。まぁでも、今回ばっかりは私が怒鳴られるのもやむなしね。


「確かに……確かに、理不尽な要求を突き付けられるだろうとは思っていました! でも、それでもイザベル様なら上手く誤魔化して時間稼ぎしてくれるだろうと思って……!」


「カーリーちゃん、女神は割と直情型だよ」


「姐さんはその場でムカつく奴を殴ってから後始末を考えるタイプッス」


「それはそうなんですけど、それでも流石に貴族相手なら後先を考えると思ってたんです!」


「貴族の魂を不可逆な方法で入れ替えたカーリーさんが言うと説得力ありますねー。ふわぁあふ」


 欠伸をして、パックみたいなものを始めているレイラちゃん。別に良いんだけど、あの子だけ異様に落ち着いているわね。

 そして他の皆が口をそろえて「なんでイザベルを信用した?」みたいな空気になってるのは解せない。私はちょっと反論のセリフを考える。


「……いや、でもそこで受け入れるわけにはいかないじゃない?」


「そうだね、女神。というかガーワンとしては来た時点で受け入れたと思っていたんだと思うよ」


 未婚の女性が男性の部屋に、夜向かうんだものね。そりゃそう思われるわ。


「だからこそ、彼は油断していた。――女神、気絶させたのかい?」


 まぁしっかり確認しては無いけれど、死なない程度に殴ったんだから……意識は無いでしょうね。


「それならまぁ、記憶が混濁して覚えてない可能性に賭けるしか無いね……」


「記憶、消します? 使ってみたい薬品あるんですよねー」


「好意だけ受け取っておくわ。アンタの薬を使ったら、大変なことになりそうだし」


 記憶だけじゃなくて命も失いかねないもの。

 私の言葉に「えー? 安全性のテストもしたかったんですけどー」と文句を言うレイラちゃん。やっぱり安全性が担保されてないじゃないの……。

 万が一これで殺したら、それこそ爵位を剥奪されるわ。


「とはいえ、どうするんスか? 今年の雨季は力業でどうにかして、来年以降は別の業者に頼むとかにするッスか?」


「私たちが対応に追われている間に、ガーワンは別の手を打つわ。対処、対処じゃ人員も資金も劣る私たちじゃいずれ息切れする」


 田舎の商店街の近くにイ〇ンが出店して、値下げ攻勢で潰しにかかるのはよく見る光景だけれど、あれも結局豊富な資金力と人員があってこそ。

 勝負が長引いた時、決め手になるのは質より量。故にこそ、数で劣る側に求められるのは先手を取っての短期決戦。つまり奇襲――なんだけど。


「今回は完全に先手取られてるのよね」

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