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17話――ヴァルキリー・ドライブ・ヴィランズドウタ―⑧

(女好きの家系? 女たらしの家系? 仮にそうでも女の敵だけど! こいつ、まさかこいつ! 良いと思った女を政治的に締め上げて、逆らえないようにして自分に都合のいい女で周りを固めてたってわけ!?)


 許せない。

 大概いろんなタイプの女の敵を見てきたけども……このタイプは、一番鬱陶しいタイプ。


「理解出来ただろう? 果たして、お前がこの誘いを断ることに何の意味がある。イザベル――お前が純潔に価値を見出しているのだとしたら、意味が無い。純潔であるだけで価値があると思っているのは、女だけだ。どんなものも、然るべき時、然るべきタイミングで使わねば意味が無い」


 それはその通り。持っているだけで価値が上がるのは、きんくらいのもの。女の子の純潔に価値を見出すのは、おっさんとそれに感化された若い女だけよ。

 でも、だからといって――


「――アンタみたいなろくでなしにくれてやるほど、私の純潔は安くないのよ」


「……なに?」


 前世、今世ともに男に純潔を捧げたことなんて一度も無いけれど。

 だからって、この程度の男にやるほど私は落ちちゃいない。


「輸入しない? 大いに結構。アンタがこんなことを言い出さなきゃ、協力関係を築こうと思ってたビジネスがあんのよ。それで乗り切るわ。ダムに穴をあける? 大いに結構。んなことしたら、あんたんとこの業者はクソっていくらでも吹聴してやるわ」


「……人が死ぬぞ?」


「あんたが殺すのよ、この人殺し」


 雨季が来たら、私たちが全力で川の増水を止めに行ってもいい。レイラちゃんがとんでも薬品でどうにかしてくれるかもしれない。ユウちゃんの剣で地形を変えればどうにかなるかもしれない。

 でも、私の評判が下がるのは……止められないでしょうね。


「くっくっく、はっはっは! やはりお前は面白い女だな。イザベル」


 まさか現実世界でそんなセリフを聞くことがあるなんてね。

 ガーワンは、睨みつける私に近づくと頬に手を当ててきた。


「強がるのは止せ、イザベル。お前は領主だ――それならば、どれほど自分が無茶なことを言っているか理解出来るだろう?」


 無茶を言ってるのはアンタでしょうが。

 私は彼の手を振り払い、胸倉をつかむ。


「何度でも言ってやるわ。――私はアンタの思い通りにはならない」


「脅しじゃないぞ?」


 真っ赤になった手をさすりながら、笑みを作るガーワン。私は彼を壁の方に投げて、舌打ちした。


「こっちだって、伊達や酔狂で領主やってんじゃないわ。――失礼いたします、ガーワン様。お休みなさいませ」


 壁に叩きつけられ、悔しいのか指一本動かさないガーワンに礼をして……私は、部屋を出るのであった。

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