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17話――ヴァルキリー・ドライブ・ヴィランズドウタ―②

「……どうかしたかね、イザベル」


 少しだけ間を取ったからか、眉にしわを寄せてこちらの顔をのぞき込んでくるガーワン。ただでさえアンタ、『人造人間』で怪しんでるんだから、これ以上怪しい行為は謹んで欲しい。

 空気読みなさいよ、空気。


「何でもありません。……改めて、ガースリー様に謝罪させていただけますでしょうか」


「それがガースリーの奴、『今はまだ、彼女に相応しくありません』と言って会いたがりませんで。全く、いったい何があったのか」


「あら……」


 私は口に手を当てて、知らんぷり。私がよけいなことを言ったせいでそんな変な感じになってると思われたら、さらにガーワンを怒らせてしまう。


「(……イザベル様、何を言ったんですか?)」


「(いや、別に何も?)」


 カーリーにジト目で睨まれたけど、こっちにも知らんぷり。まぁ彼女には後で問いつめられそうね。

 ガーワンは大きくため息をつくと、私に一歩間を詰めてくる。


「しかし、このままでは私の面目も丸潰れだ。後で私の部屋に来るように」


「……仰せのままに」


 スカートの裾を摘まんで、お辞儀する。やはり彼の目の奥に感じた闇が気になるが……今はひとまず、おいておこう。


(本当は、顔つなぎのためだけに来たんだけど……)


 もしも『組織』と彼らに繋がりがあるのなら、どういう意図で関係を持っているか問わねばならない。

 ぶっちゃけ、私たちは『組織』について知っていることは殆ど無い。

 良いことをしようとしているのか、悪いことをしているのかすら分からない。

 強いて言うなら、『人造人間』や『改造人間』を作っているから倫理観がバグってるってことは知っている。

 マリン曰く「裏家業の人間から金を集めてる悪い組織」とのことだが、その金を集めて何をしようとしているのかすら知らない。

 世界征服……なんてバカバカしいことは考えてないでしょうけど、場合によってはこっちから積極的に潰しに行くことだって視野に入る。


(普通のヤクザは、金を集めるのが目的。それが仕事だからね。それなら無理してて元を断つ必要は無い。でも……)


 新興宗教的な、社会に不安や混乱をもたらすような存在であれば、国を挙げて対処する必要がある。

 そしてそんな所とつるんでいるんであれば――こいつらだって、対処しなくちゃいけなくなる。


「では、また後で」


 私は彼らに背を向け、歩き出す。


「マリンとユウちゃんは?」


「情報を集めてますけど、芳しく無いですね」


 マリンの方は既に書類とかを忍者ばりに探しに行ってくれているけど、それもすぐに情報が出てくるとは限らないし。


「――じゃあ、乗り込んだときが勝負ね」


「無茶はしないでくださいね? ボクらも待機していますから」


「もちろん」


 本当は平和にビジネスの話だけして終わりたかったけど。

 私は心中でそう呟きながら、夜会に戻るのであった。

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