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17話――ヴァルキリー・ドライブ・ヴィランズドウタ―①

「……お久しぶりです、ガーワン様」


 いつも通り、イザベルっぽい笑顔を浮かべる。しかしガーワン、そしてその背後に立つガーツーは少し困ったような笑みを浮かべている。


「イザベル、君はもう少し落ち着いた子だと思っていたがね……」


 ため息。そして中央でまだ踊っている、ガースリーの方を見た。


「孫に随分と、恥をかかせてくれたじゃないか」


 …………あー、やっぱりそれ怒られます?

 私は何と言い訳したものかと頭を回転させるが、それよりも先にガーツーが「まぁまぁ」ととりなしてくれた。


「父上、彼女も少し舞い上がっていたのでしょう。最近、領主を継いだばかりですからね。父上も最初は、他の方にかなり居丈高にふるまわれたと聞いていますよ」


「む……」


 あら、その話は初めて聞いた。

 しかし改めて見たガーワン、ガーツーは……何というか、オジサマ好き以外にも受けそうな顔立ちをしている。ガーツーはともかくガーワンは既に老齢のはずだけれど、そんな印象を受けない。映画の中の登場人物のような――そう、映画俳優みたいだ。

 二人とも柔らかい表情と、威厳を兼ね備えており独特な雰囲気を醸し出している。


「わ、私も……その、改めて領主となりまして、辣腕と称されるガーワン様が如何に素晴らしいのかを実感しまして。その、そのせいで……ちょっと虚勢を張りすぎました。申し訳ありません」


 取り合えず謝っておく――っていうのは、悪手であることは分かっている。

 しかし、相手は商売相手の一人。領地と領地の付き合いでは、機嫌を極力損ねない方が良い存在。

 であれば、頭を下げて機嫌を取れればそれで良い。実際、私のやったことは……あんまり褒められたことじゃなかったしね。


「ほら、彼女もこう言っていますし」


「しかしだな、今日はガースリーの誕生パーティーだぞ。ガーツー、お前の息子では無いか」


「それはそうですが、こんな人前で言うことでも無いでしょう。やっと彼女も・・・十六歳に・・・・なった・・・のですから・・・・


「む……そうか、イザベル。君はもう十六歳か」


「え……あ、はい」


 何故年齢を? と思うと同時に、気づいてしまった。ガーツーのセリフに、ほんの少しの含みがあったことに。

 そして一度気づいてしまうと、もっと気になることが出来てしまう。それは……目の奥に潜む闇。決して『商売人』からは感じられない闇。

 どう儲けようか――ではなく、どう搾取してやろうかと考える闇。

 直前に『商売人』であるマイケルと出会っていたせいで、余計に感じられる。

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