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青春とは。  作者: 無名の猫
第二章 体育祭は疲れるだけの行事
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第八話 それでも笑舞は従っている。

ゼウスアルパカァ‼︎

「キャー可愛い! 隼人、見てみて!」


 千秋がウーパールーパーを見ながら言う。そんな可愛いか? それ。

 俺は気持ち悪いと思うけど。

 冬先輩のおねだりで入った子ーーウーパールーパー。ちなみに名前はウーパールーパー君。誰が名前つけたん? っあ、水野先生だ。


「あの〜部員さん? このウーパールーパー触って良い?」


 千秋が累花に向かってそう言うと、累花は少し困った顔してこちらを向いて来た。

 いや、絶対ダメだよ? ダメダメ。

 変にストレス与えたりされたら困るしね。多分文化祭の時に冬先輩泣く。『ウーパールーパー君……ウーパールーパー君!』って大観衆の中泣かれたら困るのでね。

 ので、俺は手でバッテンのポーズを作り、首を横に振った。

 それで理解出来たのか累花は親指を立て、こちらに突き出して来た。手話なんて全くわかんないのに伝わるの、あれ本当便利だな。

 そして累花は千秋に向かって話し出す。

 

「あのー、千秋先輩。申し訳ないんですが触るのは駄目なんですよ」


 累花がヒトデに手を出そうとした千秋の手を弾きながらそう言うと、千秋は頭に青筋を立てながら嫌そうな顔しながら言う。

 うわ、怒ってる。こっわー。

 

「なんで触っちゃいけねーんだよ。理由教えろよ」

「私はわからないので……」

 

 累花が困りながらそう言う。

 あれ? これ俺、行った方が良さげ?

 コミュ症だったらこの前累花と話せるようになったばっかだぞ? 千秋とだなんて話せないわ。

 そして俺は累花達の方から笑舞の方を見る。

 笑舞も笑舞とで案外可愛いなぁ。

 んだよ、この学校美少女多くね? ね? 多いよね⁉︎

 そんな中、笑舞と目が合った俺は急いで目を逸らそうとするが、その前に笑舞は急いで自分の裾を引っ張り腕を隠した。

 不審に思った俺は笑舞に近づく。

 すると笑舞は「ひゃっ!」と言う小さな声を上げてから、こちらを覗きながら少しずつ後退りする。

 俺は熊か? いや、人だ。人に決まっている。

 そう思いながら笑舞に話しかける。


「なぁ笑舞、腕。見せろよ」


 そう言うと笑舞は「え、何で……ちょっと」とか小さな声で呟く。

 するとその状況に気づいたのか、千秋が累花との話を投げてこっちに入って来る。こいつ、協調性を親の腹の中に起きてきたんじゃねーのか?

 じわじわと千秋と俺の距離が縮まる。

 ちょ、ちょっと! 距離が近いよ! 距離が……近いよ!

 そして千秋との距離が2メートル位になった時、千秋が切れ気味に話しだす。


「おい累。うちの笑舞に何やってくれてんだよ」


 そんなのどうでも良い、それよりもーー

 俺は笑舞の細い腕を掴んだ。


「おいそろそろ訴えるぞ?」


 千秋が未だキレ気味に話しかけて来るし、目の前でこき使ってた相手を庇うって……俺もまたイラついて来た。

 我慢してたがそろそろ限界だ。

 少し息が乱れていたので深呼吸をする。


「スゥー、ハァー」


 俺は喋り出すとコミュ症が出てテンパる。でも言葉にしなくても伝わる事もある。今回は口で話した方が早い事もあったと思うが、それは無理だ。

 だって僕、コミュ症だもん。

 そして俺は笑舞の腕を上に上げる……!


「辞めて……ください」

 

 恥ずかしがりながら片手で顔を隠す笑舞の腕には無数のあざがあった……

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