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青春とは。  作者: 無名の猫
第二章 体育祭は疲れるだけの行事
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第三十八話 雨宮笑舞の本音、小倉千秋の本音。

「笑舞、おいで」


 千秋がそう、手を優しく差し伸ばしてくれた。

 私はずっと体育座りをして動かない。


「……嫌だ」


 やっと発した一言目がそれだった。


「っ! なんで? なんでそんな事言うの?」


「千秋には分からないだろうね! 私の気持ち!」


 千秋には隼人が居る。大切な人が居る。だけど私にはまだ居ない。


「分かん無い! 分かんないけど……!」


 少し間を開けて話す。


「でも! でも!! 皆待ってるよ! 笑舞が、迷惑を掛けてるんだよ!!」


「だから! 行きたく無いんだって! ここまで来たら、もう後戻りとかも出来ないし……」


「青森も待ってるよ?」


「っ!」


 虚を突かれた。

 

「青森に、迷惑掛けてるんだよ?」


 累……君に、迷惑……掛けてる……んだ。


「でも、行きたく無い」


「なんでさ」


「なんだろう、なんだか、1人の1つの行動で心をぐちゃぐちゃにされた気分。気持ち悪いんだよ」


「ごめん笑舞。笑舞の気持ちがよく分からないから寄り添う事は出来ないけど、笑舞の為にそばに居ることは出来るよ。辛い事、悲しい事、頑張った事。全て全て教えて」


 それを聞いた私は、思わず顔を上げた。

 すると、ピースをしてニコッと笑っている千秋の姿がそこにはあった。


「千秋……」


 私は全てを千秋に言った。

 辛かった事、悲しかった事、嬉しかった事、頑張った事。……累君の事が、好きな事まで。

 千秋は真摯しんしに受け止めてくれた。

 嬉しかった。やっぱり、千秋は私の親友だ。

 すると千秋は生物部の扉の方を見て言った。


「主人公の登場だよ。少し遅いけど」


「主人公って……」


「雨宮!!」


 「バンッ!」と勢いよく扉を開けて入ってくる累君。


「累君……」


 累君は走って来たらしく、少し息が荒かった。


「ゼイ、ゼイ、ゼイ……雨宮、行くぞ。皆が待ってる」


 そう言って累君が手を差し出した。


「……うん!」


 そう言って私は立ち上がり、累君の手を取った。

 廊下にて。

 手を取り合って歩く雨宮と累を見て小倉は小さく呟いた。


「お似合いだね、2人共」


 と。

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