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青春とは。  作者: 無名の猫
第二章 体育祭は疲れるだけの行事
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第二十九話 累お兄ちゃんは双葉の最高のお兄ちゃん

春下ってどういう立場なの?

「累、起きて! 累! お願い……! すぅ〜……」


 身体に電気が走り、口の中に送り込まれた大量の暖かい空気により、俺が目を覚ました。

 そして目が覚めると春下が人工呼吸、心臓マッサージを行っていた。

 そして春下は「すぅ〜」と息を吐き出し、唇をこちらへ近ずける。

 途端に、肺の中の空気が奪われた。

 春下が息を切らせながらまた心臓マッサージを再開させる。

 心臓マッサージによる強い衝撃によって俺は思わず咳き込む。


「ゲホッ、ゲホッ……ゲホッ…………」


 意識が朦朧もうろうとしている中、頑張って状況を理解しようと……

 なにこの状況!?

 何故か上裸だし、春下に人工呼吸されてるし、……唾液、口の中入ったし……。

 なんで胸元と脇腹にパットされてんの?

 え? これAED? え?


「もしかしてこれ……」


 俺が座りながら起き上がり、一言そう言おうとすると急に春下に抱き着かれた。


「良かった!」


 ま〜じ〜で〜状況が〜分からん〜


「え? マジでどういう事? 何がどうなってんの?」


 俺がそう聞くも、春下はパニックになって居たので声が届かない。


「大丈夫、大丈夫だから! 大丈夫、だから。救急車も呼んだし……まだ寝てて良いから……」


 っあ、意識が薄くなって行く。

 その薄い意識の中、唯一思った事は一つ……

 俺に抱きついている春下から薔薇の匂いがする。

 いい匂い……

 だった。クズかよ。

 そして泣きながら俺を更に強く抱きしめる。


「ありがどう、ありがどう!」


 聴覚よりも嗅覚に集中したい。としか思えなくなった時、意識が無くなった。


            *


「先輩?」と、累花の声。


            *


「ルイルイ?」と、冬の声。


            *


「累君」と、雨宮の声。


            *


「累?」と、春下の声。


            *


「お兄ちゃん?」と、双葉の声が聞こえた時、累の意識は復活した。


            *


 俺が目を開くと、知らない天井が広がって居た。(言いたいだけ)

 そして双葉が俺の手を握りながらこっちを見ていた。


「お兄……ちゃん?」


 俺の意識が吹っ飛んでたらしい。

 双葉が急いで緊急のボタンを『ポチッ』てした。


「普通それ押しちゃ駄目なんじゃないの!?」

「大丈夫、大丈夫」


 それから双葉が喋る事が無く2分後、看護師が来た。


「意識が回復したのですね。良かったです」


 未だに状況が理解出来ない俺は、思わず看護師に質問をする。


「あの、ちなみに……何があったんですか?」

「っあ、それなら……男性に殴られた事による心臓震盪しんぞうしんとうです。心臓が止まって呼吸が無かったんです。ちなみに途中で意識が復活したのは中治り(なかなおり)現象といい、意識がなくなりかけてくる、食べ物が飲み込めないなど、死が迫っているように見えていた人の症状が一時的に回復することです。ほら、一瞬で意識消えたでしょう?」


 っあ、確かに……確かに………

 心臓震盪……中治り。こ、怖い……

 

「心臓が止まった……て事です……か?」


 そう言い、俺は心臓を手で抑える。

 良かった。動いてた。


「そうです。っあ後、2泊3日で3日後——木曜日に退院ですので、安静にしといて下さいね?」


 わ、分かりました……

 そう言って看護師はその場から離れてった。

 カミングアウトが衝撃過ぎる……


「お兄ちゃん、何があったの?」


 不意に双葉から質問が来る。


「ああ、これな。人を助けてた」

「あ〜! そっか! ……なら安心した」

「なんだよ、安心したって……」


 双葉が何か言いかけていたが、首をブンブン振る。


「人助け……か。お兄ちゃんは私の誇りだね!」

「誇り……かぁ」


 そう言って天を仰ぎながら横になる。

 すると双葉は俺の頭を撫でる。


「本当だよ。やっぱお兄ちゃんは優しくて強い、最高のお兄ちゃんだよ」


 そう言い、俺のアホ毛を人差し指でくるくる回す双葉。


「そう……か。そうか」


 俺にはその感想しか出て来なかった。

『最高のお兄ちゃん』……か。

 その後、3日入院して退院したのであった……。

春下ってどういう立場なの?(再放送)

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