妻への感謝
2023年 ひどい頭痛に悩まされた時のお話
頭痛がひどい。
先週末、モニターに向かってひたすらイラストを描いていたら肩こりがひどくなった。肩こりなんて初めてだけど、たぶんこれが肩こりなのだろう。肩が重いなと思ったら首からわき腹にかけて痛みがやってきた。まあずっとペンを握っていたからな、仕方のないことだろう。
翌週、火曜・水曜と出張に行った後の木曜日、突然頭痛がやってきた。あまりに痛いので職場の置き薬を飲んだが痛みが退いたのは2時間足らず、たまらずもう一度痛み止めを飲んだ。
これ、絶対肩こり由来の頭痛だよ。そう思った私は病院よりも整体の予約を取り、硬くなった体をほぐしてもらった。頭痛は治まったように感じたが家に帰るとまたぶり返してきた。頭痛薬と同じ程度の効果時間だったのが悲しい。
夜、そして翌朝(つまり今朝)と痛み止めを飲んだが全く効く様子がない。もう薬は止めだ。今日は仕事を休んで病院に行くことにした。
ところで。
私が頭痛で苦しんでいるのを横で見ていた妻が心配している。それはそれで当たり前なのだろうが正直なところを言おう。起きていても寝ていても、妻が居ても居なくても、痛みは定期的にやってくる。むしろ妻が横に居ると心配させたくなくて、痛みをこらえている自分がいる。死期が近づくと姿を隠す猫の気持ちが分かるような気がする。
だいたい歳をとってくれば、誰でも体の痛いところの1つや2つ、抱えているものじゃないのだろうか。心配するようなことじゃあない。
だけどやっぱり心配してくれる。こういう時の妻の行動は早い。
去年、母が入院し、病院から父に電話があったときのこと。
父は携帯電話を持っておらず、連絡が付かない病院は私の元に電話をかけてきた。私から父に電話をかけるが、何度コールしても出てこない。昼間は畑に出ているのだろう。しかし夜になっても父とは連絡が付かなかった。おかしい。そういえばちょっと前に屋根の修理をしていて落ちたことがあったな、不安がよぎる。
そんな時、妻が言った。「今すぐ帰ろう」と。
今から帰っても実家に着くのは数時間後、だが、ここで待つよりはるかにマシだ。方針は決まった。
幸い父はなんでもなかったが、妻にはとても感謝したことを覚えている。
そして今日。
妻が仕事を休んで病院に付き添うといっている。まさに今、仕事の引継ぎに行っている。もうじき帰ってくるだろう。その隙を見計らってこのエッセイを書いているわけだ。
私には過ぎた妻だ。とても感謝している。痛みのないフリをしなければいけないが。でも、見栄を張るのも男として悪くはない。それを急に書きたくなった。私が妻に感謝していること。ありがたいと思っていること。
玄関のチャイムが鳴った。妻が帰ってきた。オチも何もない文章だが、まあ自分の気持ちのまとめだ、こんなものを読んじまったみんな、悪いな。