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第3話 お前を救いに来たぞ!
鷲尾君は生真面目男子だった。
いつも難しい顔して顔をしかめているから
私の事嫌いなのかと思ってた。
ん・・・
こちらを見てもぷいと目を反らす。
突然降り出した日に傘を貸してもらったこともあったな
無言で傘を置いて走って行ってしまったことも
今思い出してみるとあれは彼なりのツンデレ行動だったのだろうか
お店が開店してしばらく経つ。
今日はお客が少なくて暇だった。
「ねぇ、昨日の彼、あんたの元カレ?」
「はは、違います」
私は笑って誤魔化す
ともあれ
多分もう来ないだろうな
少し懐かしい故郷の思い出が頭から抜けていくのを感じた。
切り替えなきゃ
バタン!
店の扉が開く。
息を切らす鷲尾君
「美林、美林さんはいますか!」
来て早々そう叫ぶ彼
また来た!?
あまりに迫真なその姿に店の空気は凍る。