時限爆弾 【月夜譚No.79】
こんな時限爆弾のようなもの、どうしろというのだ。彼は深い溜め息を吐いて、右掌で顔を覆った。彼一人を置いて、自分はさっさとその場を離れていった親友が恨めしい。
不自然に声音を高くしたあの電話で気がつくべきだった。のこのこ待ち合わせ場所に出向いた彼も悪いといえば悪い。しかし、何も言わずに呼び出した親友を心の中で呪っても、神様は許してくれるに違いない。
こうなってしまった以上、一人で嘆いていてもどうにもなるまい。彼は意を決して顔から手を離し、隣を盗み見た。
そこには、青いキャップを被った少年が座っていた。短パンから伸びる脚をぶらつかせて、嬉しそうにソフトクリームを舐めている。ソフトクリームがまだある内は大丈夫だろう。問題は、その後だ。
この少年、親友の従兄弟なのだが、大人の言うことを聞かない悪餓鬼なのだ。彼も以前、何も知らずに一緒に遊んで痛い目を見ている。もう顔も見たくないと思っていたのに、まさか二人きりにされるとは、青天の霹靂もいいところである。
さて、いつどんな形で爆発するのだろうか。読めない少年の心を思いながら、彼は眉根を寄せた。