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月夜譚 【No.1~No.100】

時限爆弾 【月夜譚No.79】

作者: 夏月七葉

 こんな時限爆弾のようなもの、どうしろというのだ。彼は深い溜め息を吐いて、右掌で顔を覆った。彼一人を置いて、自分はさっさとその場を離れていった親友が恨めしい。

 不自然に声音を高くしたあの電話で気がつくべきだった。のこのこ待ち合わせ場所に出向いた彼も悪いといえば悪い。しかし、何も言わずに呼び出した親友を心の中で呪っても、神様は許してくれるに違いない。

 こうなってしまった以上、一人で嘆いていてもどうにもなるまい。彼は意を決して顔から手を離し、隣を盗み見た。

 そこには、青いキャップを被った少年が座っていた。短パンから伸びる脚をぶらつかせて、嬉しそうにソフトクリームを舐めている。ソフトクリームがまだある内は大丈夫だろう。問題は、その後だ。

 この少年、親友の従兄弟なのだが、大人の言うことを聞かない悪餓鬼なのだ。彼も以前、何も知らずに一緒に遊んで痛い目を見ている。もう顔も見たくないと思っていたのに、まさか二人きりにされるとは、青天の霹靂もいいところである。

 さて、いつどんな形で爆発するのだろうか。読めない少年の心を思いながら、彼は眉根を寄せた。


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― 新着の感想 ―
[一言]  なるほど、時限爆弾とは、そういうことでしたか。少ない文章で、見事にまとまった作品ですね。
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