↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
95/375

ヒポグリフ解体

カチを除いた老人達はそれぞれの家に帰り、リヨリ、ナーサ、フェルシェイル、マルチェリテ、そして吉仲の六人が沢に着いた。


「とりあえず、出すぞ?」


吉仲が再びロープに命令を送る。

ロープは木の幹に蛇のように巻きつき、木の幹を支点としてヒポグリフの肉体を沢から引き上げた。


「使いこなしてるわねぇ、吉ちゃん」

「そうだな、思った以上に使いやすいよ」


今朝ヒポグリフを運んだ時に、コツを掴んだのだ。

念じた通り動くというのは集中力が必要だが、慣れてしまえばこれほど簡単で確実な操作は無い。


宙吊りになり、水が滴るヒポグリフにもう一本のロープを這わせ、地上に下ろす。

木に巻きつけたロープがそのまま地面を進み、来た時と同じようにヒポグリフを持ち上げた。


そのままヒポグリフをロープの作用で運び、カチの家に着く。

東屋の梁にヒポグリフを掛けると、東屋が軋んだ。しかし元々獲物の解体用途で作られた建物だ。

多少古びていても、太い梁と柱はしっかりと獲物を支えている。


「これだけあればしばらくは困らないね。後はお客さんが来てくれれば良いんだけど……」

「ほっほっほ、そうじゃな。ワシらだけで食い尽くすなら、毎日食っても軽く半年はかかるわい」


カチとナーサはいつも通り籐椅子に腰掛ける。マルチェリテも二人の近くに立った。


「マルチェちゃんも見学ぅ?」

「そうですねぇ、人形は解体の動きができませんし、私も足手まといになりますし」

「そうかそうか。なら、この椅子に座ると良い」


カチが自分の籐椅子をマルチェリテに明け渡し、近くにあった木箱に座る。


「あら、私がそちらでも構いませんのに」

「綺麗な服が汚れちゃいかんだろう。なに、気にすることはない」

「カチちゃん、紳士ねぇ」

「ふふ、では、お言葉に甘させていただきます」


マルチェリテが優雅な所作で座った。和やかな笑みが三人からこぼれる。


「あっちは随分のん気ねぇ」

腰に手を当て、三人のやり取りを見ていたフェルシェイルが呆れた声を発する。


「本当は俺もあっちが良いけどな……こんな大物、どうやって解体するんだ?」

吉仲が首を落とされ、腹を裂かれたヒポグリフを見上げる。


後脚で梁に吊るされ、前脚と翼は作業台全体に覆いかぶさって広がっていた。

内臓を抜いた時も思ったが、巨鳥と馬が繋がっている姿は異様だ。

翼の下、脇に当たる辺りから、羽毛が綺麗に馬の毛並みに生え変わっている。


「……うーん、ようは馬と鳥の解体を同時に行うわけだもんね……」


馬の解体工程は他の四本脚の動物と変わらない。

頭と内臓を外し、皮を剥いだ枝肉から食材となる部分を切り出していけば良い。


一方鳥の解体は大きく二つに分かれる、片方は大枠では同じだ。

頭と内臓を外し、羽を剥く。中抜きと呼ばれる状態になる。

ちなみに、もう片方は丸と呼ばれ、こちらは足先のみ外し羽も抜く、内臓は残す。


鳥の羽を剥がすのは時間が掛かる。

陽気の中で作業を行うなら、短時間の内に急いで行う必要がある。


馬の脚で吊られている状態で鳥の羽から剥がしていくと、馬の部分の解体工程も後ろにずれ込み、遅くなってしまうのだ。

リヨリが悩む。


「そういえば、馬の方に内臓が詰まってたけど、そこから空洞のままで鳥の方に繋がるんだな」


内臓を取り出した腹の切り口を見た吉仲が、なんとなく感想を口にした。


「ん?ああ、それはね、元々鷲の方に内臓が……あっ!」

「どうしたのよリヨリ?」


リヨリは考え込む、そして思いついたように頷く。


「……うん、そうだ。真っ二つにしよう」


怪訝そうな吉仲とフェルシェイルに、リヨリが宣言した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。