↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界グルメ王 牛丼屋バイトが最強味覚を手に入れて、料理バトルの審判に!  作者: トラウマ未沙
料理勝負:ジャイアントバット
PR
46/375

赤く輝く黄金の炎

「フェルシェイル。耳、もらっていい?」


鍋に湯を沸かし始めたリヨリは、フェルシェイルが持ってきた包み、蝙蝠の頭を指差した。


「耳だけならね。好きに使えば良いわ」

「ありがとう」


蝙蝠の耳を切り落とし、次いでリヨリは肉の塊の外側を切り落とし、可食部を取り出す。

皮と同様に、脂肪がほとんど無い、赤身ばかりの肉だ。肉をスライスし、さらに細かく刻む。


「リヨリは作る物が決まっているみたいじゃのう」

「ああ、それに急いでるみたいだな。手間が掛かる料理なのかも」


二本目の包丁を取り出し、細切れになった蝙蝠の肉を小刻みに叩く。ミンチにするらしい。

叩き、まとめて、形を整え、また叩く。リズミカルな音が店内に響き渡った。


対するフェルシェイルも鍋に水を入れ、火にかけたままリヨリの動きを眺めている。

口元には不敵な笑み。


「フェルちゃん、動かないのぉ?」

「肉も用意してないけど大丈夫なのか?」


フェルシェイルは鼻で笑う。


「このお肉の及第点ってのはあくまで家庭料理のレベルよ。プロは血抜きに失敗したお肉なんて使わないわ。食材は常に最上の物を使わないと。……これとかね」


耳が切り取られた蝙蝠の頭を持ち上げる。


「……頭?」


包丁を当て、頭頂の皮を剥ぎ、包丁の背で頭蓋骨を割る。

脳が露出した、血管はどす黒い紫色で、脳細胞は淀んで黄色く変色している。

脳は血が回らなくなるとすぐに分解が始まるため、締めた直後に取り出し処理をしないと瞬く間に品質が落ちる。


「最上?脳は肉以上に質が悪いぞ。時間が経ち過ぎておる」


カチとナーサは興味津々だが、吉仲は見ていられなかった。

リヨリが肉を刻み続けている方に目を逸らした。


「普通だったらそうね。でも、アタシだけは違う。代々受け継いできた火の鳥の精紋の力、見せてあげるわ!」


コックコートの下、フェルシェイルの肩の紋章が輝いた。

厚手のコックコートの上からも赤い光が透けて見える。リヨリの方を向いた吉仲も、その輝きから眼を背けることはできなかった。


リヨリですら手を止め、フェルシェイルを向いた。


「本気の本気で、勝ってみせるわ……」

「まさか……」


脳を露出した蝙蝠に手をかざす。ナーサの声は今までに無いくらい緊迫していた。


「火の鳥の精紋よ、その力を解き放て……。黄泉の夜闇に眠りし者に、再び朝日の輝きを……フェニクシア=リヴァイン!」


フェルシェイルの両手が、蝙蝠の頭が黄金色の炎に包まれる。

店の誰もが、その光からは目を離せなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。