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異世界グルメ王 牛丼屋バイトが最強味覚を手に入れて、料理バトルの審判に!  作者: トラウマ未沙
ダンジョン:ジャイアントバット
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最初の部屋

ナーサが魔法時の上に立つ。

「ナーサさんは?道具は良いの?」

「大丈夫よぉ。私にはコレがあるもの」


鞄の肩紐を軽く引っ張り、ナーサは踵で魔法陣を打ち鳴らした。

陣のラインに沿って光が表れ、三人を取り囲む。そのまま光は回転を初め、上方向に伸びて徐々に柱となる。


光の壁で部屋から遮断される。吉仲は目が眩むようだった。

「すごいな……」

「ねぇ。ダンジョンに準備と避難のための部屋を作ってポータル張って、しかも略式起動できるようにするなんて、おば様サービス良すぎてどうかしてるわよねぇ」


吉仲とナーサの感心するポイントは違ったが、吉仲は何も言わなかった。

「まず最初だし、一階層で手頃な魔物を捕まえたら帰りましょうかぁ」

「うん、ちょっとドキドキするね……」


「……俺もう帰りたいんだけど」

「それはダメ」


「そうそう、それにそのおたまちゃんも使ってみないとぉ」

おたまを使うったって……と呟き、おたまを見る。いったいダンジョンで何をすくうというのか。


光の壁が薄れていく。さっきまでの部屋と異なり、今度は土壁だ。壁に描かれている魔法式でいくつもの明かりが灯っているが、それでも薄暗い。


夜の広い部屋に、小さな明かりで入ったような状態だ。まして明るい白い部屋から、光の柱を経由して入ったせいでさらに暗く感じる。


ナーサが周囲を伺い、安全を確かめる。

「ここがポータルに繋がってるわぁ。起動方法はさっきと同じく、踵で打ち鳴らすこと、まあ手か何かで魔法陣を叩けば発動するわ。何かあったら、ここまで戻って帰ってねぇ」

土の床に白く、さっきと同じ魔法陣が刻まれていた。


ナーサが鞄を開けると、勢いよく光の玉が飛び出した。ほのかな光が辺りを照らしながら、ナーサの近くを飛び回る。ナーサは魔力で動く明かりの魔法生物だと説明し、部屋を調べることする。


部屋の片隅の魔法陣以外は、照明の魔法陣が各壁面に二つずつ張られている。それぞれが淡い光を放っているが、部屋中を明るく照らすには光量が足りていない。

人がギリギリで見える光量を調整しているようだった。


設備は古びた木の扉が一つ。それ以外は何もない。

元々何もない部屋をポータルに繋げたのか、カチやヤツキが持っていったのかは分からなかったが、少なくとも危険は無いらしい。


「モンスターはいないの?」

リヨリは少しだけ、拍子抜けしたような雰囲気で尋ねた。


「少なくとも、この部屋にはいないみたいねぇ。魔法陣は無いけど、避難所として魔除けされてるのかも?じゃあちょっと、進んでみましょうかぁ」


ナーサは、ゆっくりと扉を開けた。

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