表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無題  作者: 芳田文之介
1/1

お引越し中



ほかのサイトの「よしだぶんぺい」にて


あしからず








ややあって、しびれを切らしたように王が、側近に目配せをした。この間の悪い沈黙をどうにかせい、とでも言いたげに。


側近は、何事も如才じょさいなく振る舞える男だった。なので、その視線の意味をとっさに察したらしかった。側近は、やがて、王にまっすぐな眼差しを向けると、こう進言した。


「どうでしょう、王様。ここはひとつ、これを僥倖ととらえてみるというのは」


「僥倖?」


「さようでございます」


そう側近は相槌を打つと、よどみなく、その解をこう披露する。


「現に、井戸に月は落ちておりません。蒙昧もうまいな家来どもが月影を見て、無闇やたら騒ぎ立てているに過ぎないのです。そんな彼らに、知恵者であられる王が、実際のところを嚙んで含めてやるのです。さすれば、改めて、王の知識の深さを彼らは認識し、ことさら従属するに相違ありません。少なくともそうである以上、これは、偶然に得た幸運、畢竟ひっきょう、僥倖でしかないとわたくしは見做すのです、王様」


「ほう、儂の知恵をひけらかす僥倖ととらえよということか」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ