プロローグ1
※初投稿です。色々と誤字、脱字、そして作者の怠慢等々あると思いますが、頑張って最後まで続けていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
『それじゃ、行ってらっしゃい』
『うん……行ってきます』
これで何回目だろう、この扉の前に立つのは。
夕時だというのに光がほとんど差し込まず、乾いた空気で満たされた薄暗い校舎の廊下、横には彼がいて、私は教室の扉の前に立つ。
これからやる事は分かってる。ただ成功するか分からない。失敗したら終わりじゃないけど、ただ、あまり繰り返したくない。
「すぅ……はぁー」
でも、失敗したままで終わる気はない。
彼に別れと再開の挨拶を告げた私は扉に向き直る。
胸に手を当て自分の鼓動を確かめるように数回深呼吸をして、息を整える。
……緊張してる?
緊張しないわけないよ、だってあの彼女だよ?
この学校に彼女の敵はいないし、彼女のことを知らない人や、彼女の声を聴いたことがない人なんていない。この学校にいるのは彼女の味方がほとんどで、こんな状況に置かれている私でさえも彼女を慕っているくらいなんだもん。緊張しないわけない。
……そんな彼女に嫌われていて、怖くない?
こわい、怖いよ。だけど彼が教えてくれた。そんなの理不尽じゃないかって。私の代わりに怒ってくれた。こんなの正しくないって。そして、応援してくれた。
彼の尽力なくてこの場は設けられなかった。ここまで辿り着くことはできなかった。彼が全てを取り立て、執り成し、造り出してくれたのだ。
そうだよ、だからここで何回失敗し、繰り返そうとも引くわけにはいかない。失敗で終わらせるわけにはいかないんだよ。
……うん、納得した。きっと今回で成功するよ。頑張ろう。
自問自答して出した答えは、ここに一番初め、彼とこの場所に立った時から決意していたことだった。
「うん、そうだった。初めから決まっていたじゃない、私……うんっ」
再度気合を入れ直した私は、ゆっくりと腕を上げ扉に手をかける。
一昨年改装を終えたばかりの教室の扉は、私が軽く腕に力を入れると少しだけ移動し、開いた隙間から眩しい陽光が差し込んだ。漏れだした光が私の右腕に注ぎ、仄かに光の当たった部分に暖かさが宿る。
その温もりに後押しされて、私は光が差し込めるほどしか開いてなかった教室の扉を開き切った。
「う……」
扉を開けると、暖かい光が体を包んだ。あまりの眩しさに思わず目を細める。
分かってはいたけど、この時間帯は特に眩しいな……。それに、やはりまだこの雰囲気には慣れない。抑えようとしても、どうしても無意識に緊張が高まってしまう。
突然の眩しい陽光が目に差し足を止めてしまったが、それも一瞬で、私は再度気を引き締め歩き出した。
夕日に染まった教室は静謐に満ちていて、どこか寂しさを感じさせる。静かな教室に私の足音だけが虚しく響き、焦燥を煽る。
今音を発しているのは私だけだけど、この教室にはもう一人いる。
教室の中心、二つの席が向かい合わさった片方の席、黒板に背を向けた椅子に彼女は座っていた。
道園夕夏。
彼女は目を瞑ったまま待ち構えていた。その顔は瞑想でもしているのかとても真剣で、綺麗で、美しかった。
「ちゃんと来てくれたんだね」
「……当たり前でしょ。なんで私があなたから逃げなきゃならないの」
「だ、だよね……」
彼女は閉じていた目を薄く開き、不機嫌さを露わに軽く私を睨みながらそう返した。
女である私から見ても十分以上に整った顔立ちと、その身に纏う高貴な雰囲気が相乗効果を生んで、その表情は怖さに磨きがかかっていた。こ、怖すぎる。
多少彼女に気圧されながらも私は対面の席に座り、正面の彼女を見据える。
「一応聞くけど……ルールは、分かるよね?」
「……馬鹿にしてるの?」
「いや、あっはは……」
確認を取ると彼女はため息を吐くように返答した。
相変わらず不機嫌な様子の彼女だが、どうやら彼女の方も準備はできているようだ。
なら、後は私が覚悟を決めるだけ。
「……それじゃ、始めよっか」
私は机の上に置いてあるストップウォッチを手に取り、意識を集中させる。胸の奥でドクドクと木霊す鼓動を何とか正常値に戻そうと深い息を吐いて、意識を自分の中へ、更に奥へとと沈めるために目を瞑り、全ての音を遮断する。
今度こそ決着を付けよう。
今まで手伝ってもらった彼の協力と応援を無駄にしないためにも……。
もし最後まで読んでくださった方がいたなら、有難う御座います!
地の文が前回は杜撰だったので、新しく改変、心も一転して新たに書き直しました!
書いてて自分の語彙力のなさと馬鹿さにはイライラしながらも、何とか自分の想像力を高めるため、音楽を聴きながらのエクスタシー状態で執筆に挑んでます。なのでどうか見放s((ry
というわけで、次回の投稿は7/3です。
はぁー語彙力が欲しい↓