異世界編:第8話 「熱志、介護される!」
あれはジン○ウガじゃないよ・・・本当だよ・・・
戦いが終わった・・・
熱志は血まみれで地面に臥しており、獣は仁王立ちで倒れた熱志を見つめている
熱志を見つめるその眼は空虚・・・意思を感じられない
そして熱志は・・・
「Zzzzz・・・・」
熟睡していた・・・
そして、その場にはもう一人の・・・
「いやぁ・・・、本当に何から何まですまない!」
「困ったときはお互い様って言うだろ?気にすんな!」
雷熊との死闘の後、極度の疲労と出血・プレッシャーからの開放で意識を失って(眠って)しまった俺だが都合よく救出された
俺の目の前には男が一人、甲斐甲斐しく介護してくれている
美女や美少女でなくて残念・・・とは失礼で思ってはいけないと思う
・・・ごめん、ほんの少し思った(orz)
「森を探索してたら突然ビカビカッて閃光がしてさ・・・向かってみたら君と熊みたいなのがいるじゃん!腰を抜かすところだったよ!」
「俺は・・・腰を抜かして満身創痍で失禁までしてたんだがね・・・」
「どちらも動かないから、恐る恐る近づいてみたら熊は竹が体に突き刺さって立ったまま死んでるし・・・君は爆睡してるし何がなんだか・・・」
「拠点まで運んでもらった上に、傷の手当・熊の解体・保存の処理までしてもらえるなんて・・・本当にありがとう・・・」
「美女じゃなくて申し訳ないがねw」
「っ!?そ・・・そんなんこと思ってないいですさ!」
「冗談だよ・・・(ジロリ)」
「あはははは・・・・」
そいつから話を聞くに、同じ日本からの転移者らしい
人間社会に愛想が尽きて、山奥で一人暮らしをしていた→満月の晩にうっかり崖から落ちた→気が付いたらこの世界にいた・・・どこかで聞いた様な話だな?
日本の何処に住んでいたとか、名前を聞いたが
「俺は過去を捨てた!!だから言えないな・・・(ふっ)」
と冗談交じりに、拒絶された(おそらく本気だ)
「じゃあ、俺の事は「熱志」と呼んでくれ・・・」
「俺は、今のところお前でいいよ・・・他には誰もいないしな」
「そうか・・・」
そいつの外見は
長い髪を紐で束ねており前髪も目が隠れるくらいの長さ・髭が長く口元が見えない・20代後半くらいの日本人男性でよく鍛えられた体をしている(正直、人相が分からず怪しさ抜群だ)
俺と同じく、狩猟・採集生活で培った同等の技術を持っており非常に頼りになる
類は友を呼ぶって奴かな?
「おい、熱志?どうした・・・体が痛むのか?」
「あ・・・いや、考え事をしていただけさ・・・傷はそんなに痛んでないよ」
「そうか・・・まぁ、骨折や内臓を痛めている訳では無い様だから飯喰って寝ていれば大丈夫だとは思うぞ」
「ああ・・・ありが・・・あっ!!」
「どうした!?」
「に・・・肉!」
「は?肉がどうした?」
「肉まん・・・食べてない!!」
「・・・・ふん!!(ドガッ)」
腹パンご馳走様です!!
「あの肉まんだがな・・・俺が熱志を運んできた時に見つけたが乾燥してカチカチで食えなかったぞ」
「そうか・・・まぁ、火のついた竈の上に放置だったからな・・・」
「また作れよ・・・機会はあるだろ?」
「今度は熊肉で作るか・・・」
「毛皮は処理して干してあるし、肉は部位毎に塩漬けや燻製にして瀧の横の保冷室に入れてあるからな」
「お前が・・・神か!?」
「・・・ほめられてる気がしないんだが・・・まぁいい」
「何かお礼をしたいんだが・・・真面目な話だぞ」
「んー・・・じゃあ、これもらっていいか?」
それは、雷熊の牙と爪だった
「熱志と俺で半分な!なんかすげぇオーラを感じるんだよ!アクセとか武器にしたら必ずなんかの効果がありそうな気がするんだ!」
「お前・・・ラノベとか読んでたんだな・・・」
「・・・・」
「・・・・」
「さてと・・・そろそろ、熱志も動けるようになりそうだし俺は戻るわ!」
「あ・・・ああ・・・その・・・良ければ一緒に住まないか(拠点を合併しないか)?お互い困ったことがあれば助け合えるし・・・(チラッ)」
「え・・・?あ・・・・はっ!?(ザザッ!!)」
なんだコイツ?急に青い顔になって後ずさったぞ?
「お・・・お前・・・・まさか?」
「は?」
「お・・・俺は!そっちの趣味はねぇ!!す・・・すまないが、他の人を探してくれ!!」
「え・・・?ちょ?何言って?」
「ま・・・また会おう!!サラダバーー!!(逃走)」
・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・!?
そっちの趣味・・・・とな?
「ふっざけんなーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
この叫びは、あの熊の咆哮を超えていると確信した!
しばらくして、落ち着いて現状を整理してみた
体のあちこちの怪我だが打撲と裂傷、火傷がメインで骨は折れていない
胸の裂傷はひどく治っても痕が残りそうだ、傷や火傷はこの数日で塞がり数日で完治しそうだ
左腕と胸の打撲は動かすと痛みが走るが日常生活に支障が無いレベル
「生きてるって・・・素晴らしい」
今更ながら生の実感と安堵から涙が出てくる
「体が治ったら、あいつの拠点を探してお礼に行こう・・・」
今日は久々に風呂でも沸かすか・・・
まず・・・飯を食ってからだな
今日のレシピ(手抜き)
熊肉を叩いてスジを切ります→胡桃の塩漬けを砕いて熊肉にまぶします→なじませて水分が出たら再度塩を振ってからミディアムレアに焼く→付け合せに山菜を茹でて添える
熱志流:手抜きベアーステーキ(肉が硬めで60点)
風呂は最高だぜ・・・傷に沁みる!
「痛ってぇええええええええええええええええ!!」
本日2度目の咆哮Death