異世界編:閑話「災害対策本部設立 名称:未定」
更新が遅くなりました
短めです・・・
ホルムス領主 デルヴィン・ホルムス(36歳 既婚)
婿養子でホルムス領の領主となってから、積極的な未開発地域の開拓計画と同時に人材の育成と確保を念頭に置いた施策で領民の信頼も厚く評判である。
今年18歳になる娘を溺愛しており、娘が15歳になるまで近づく男達を追い返し続けた結果・・・奥さんと娘が「実家に帰らせて頂きます!このままではホルムス家が断絶してしまいますので・・・」と離縁寸前まで進み、慌てて追いかけた先の町でスライディング土下座をした伝説を持つ男である。
その後は、家族関係は良好になり娘に婚約者もできたそうだ。
そんな領主館の会議所は重苦しい雰囲気に包まれていた。
「その報告は間違いないのだな・・・」
「はい、川の水が茶色く濁り大量の流木やゴミが流れています。上流で大規模な土砂災害が発生したのは過去の記録と照らし合わせても間違いがないことかと・・・」
「上流にはメルナル村があります。状況確認の為に数名を派遣する準備をさせています。」
「町内には目立った被害はありませんが、周辺の町や村と繋がる街道の一部で冠水やがけ崩れが発生している模様です。」
先日の記録的な大雨の被害報告が上がってきており朝から大忙しである。
そんな中、会議室のドアが勢いよく開かれ、更なる報告がもたらされる。
「申し上げます!メルナル村から伝令が参りました!」
「!!」
「すぐに、ここへ通せ!」
連れて来られた伝令の男は不眠不休でここへ駆けつけたらしく、ひどく消耗した状態であったが村の被害状況と救援を求める旨を述べた後に意識を失い別室へ運ばれていった・・・
メルナル村は今の代の村長に代わってから、人口も増え着々と規模を広げており隣接する大森林の資源もある将来性の高い村である。
「救わねばならんな・・・すぐに準備に取り掛かれ!!」
「商工ギルドにて物資の確保と搬送準備に取り掛かります!」
「神殿から医者や薬などを集めます!」
「常備兵から土木部隊を編成し救助と支援にあたらせます!」
「資金は領の災害時対策庫から出す!関係各所に試算の提出を急がせろ!」
「今日から徹夜だな・・・」
「馬車の確保を急げ!悪路を想定して予備の車輪と馬の手配もな!」
テキパキと対応が進むのを見て満足げに頷くデルヴィン、一通り対応が終わり関係者が退出し一人になった。
「さて・・・どうするか・・・」
メルナル村以外にも被害は出ており、今後さらに懸案は増えるであろう。
「決めなくてはならん!こればかりは私が決めなくてはならんな・・・」
手元の石板に思いつくままに書き連ねていく、清書は最後だ!
「ううむ・・・これは駄目だ・・・こいつは、足りない・・・これはイマイチ・・・これで!・・・いや、ありきたりだな・・・」
書いては消して、候補は残してを繰り返しある程度絞り込んでいく。
一心不乱に鬼気迫る顔で書き続けるデルヴィン・・・戻ってこない夫の様子を見に来た夫人 メリッサ・ホルムス(35歳 1児の母)は
「あんなに必死に・・・民の事を大切に思ってらっしゃるのね。そんな一生懸命な貴方・・・でも、お体を壊さないようにご自愛下さませ・・・」
と呟き、侍女へお茶と軽食の差し入れを支持し陰ながら夫を支えようと見守っていた。
「ううむ・・・なかなか決まらんな・・・」
手元の石板には数々の候補が並んでいる・・・
(メルナル村大規模災害対策本部)
(ホルムス領水害救援本部)
(記録的豪雨被害対応本部)
(広域災害救助・支援本部)
「本部という言葉は外せないな・・・」
名称が決まるのにはまだまだ時間がかかりそうである・・・
お読みいただきありがとうございます。