異世界編:閑話 「リルの宝物!」
やっと伏線を1個回収できました!
リルの朝は早い・・・
まだ子供で背も低く満足に家事手伝いや農作業が出来ない彼女の仕事は朝一で川と家を何度か往復し、水瓶に水を補給する事だ
今日も重い瞼を気合で開け、着替えて空の桶と天秤棒を持ち靴をはいて川原へ向かう
「ん~~(パシャパシャ!)」
冷たい川の水で完全に目が覚める感覚がたまらなく気持ちが良い!と隣の家のおじさんは言うが・・・嘘だ!眠い物は眠い!
「(ゴシゴシ)・・・むにゃ・・・っ!?(バシャバシャ!ゴシゴシ!!)」
よく乾いた手ぬぐいで顔を拭いていたら気持ちが良くて寝そうになった・・・危ない!!
桶に水を汲み天秤棒の両端にぶら下げ肩に担ぐ!
始めた頃は運んでいる最中にバランスを崩してこぼしてしまったり、転んだりしていたが今はベテラン(水運び暦:半年)である!
ちなみに彼女が1往復する間に隣の家のゼイルさん(男性:42歳 農民 工芸品製作者)は大人用の普通の桶で3往復しつつ、よろよろと子供用の桶で水を運ぶ彼女を微笑ましく見守っているが一生懸命な彼女は気付いていない
「んしょ・・・んしょ・・・(ザバー!)」
昨日は洗濯で水を沢山使ったから何時もより水の残量が少ない
「あと2回くらいかなぁ・・・朝御飯にまにあうかな・・・」
少女は考える・・・
空腹で力仕事→何時もより往復回数が多い→朝御飯の時間に間に合わない→水汲みの回数を減らす→朝御飯に間に合う→水が少ないのがばれる→お母さんに怒られる→再度水汲みに行かされる→朝御飯後に約束している遊びがキャンセルになる→友達が減る→彼氏に振られる→失恋して行方不明になる
「走れば・・・間に合う!」
1回目・・・少しこぼれてしまったが何時もより速いペースで運ぶことが出来た!
「はぁ・・・はぁ・・・あと・・・1回!」
彼氏(現状:一方通行)の為に彼女は走り出す!!
「・・・・・」
そんな彼女を見つめる女性が1人
「早起きの習慣付ける為に、簡単な水汲みやらせる様にしたけど真面目にやってるわね・・・感心感心」
親の心子知らずならぬ、子の心親知らずだが・・・
ミーシャ(女性:32歳 主婦 農民 リルの母)は、朝御飯に1品ご褒美で増やすことを決めた
「産みたての卵でオムレツかしらね・・・」
そんなリルの頑張り(恋心)は脆くも打ち砕かれる・・・
「うえっ・・・ひっく・・・うえぇええ・・・(ベシャベシャ・・ゴシゴシ)」
途中までは順調だった・・・だが今の彼女は川原で一生懸命に汚れた服を綺麗にしようと泣きながら見様見真似で洗濯していた
経緯
1回目の帰り道に水がこぼれる→地面が濡れて滑りやすくなる→恋に盲目(足元見ず)な子供が登場→走る→滑る→見事に転ぶ→心に愛があれば(ry)→昨日洗濯してもらったお気に入りの服(勝負服)が泥まみれ→彼氏(以下略)に普段着で会わなくちゃいけない→ライバル(泥棒猫)に彼氏を奪われる→洗って乾かさないと、幸せな老後が行方不明に!
「落ちない・・・落ちないよう・・・どうして!お願・・い・・だから・・・うえぇぇええ」
洗濯経験も無い子供が、白い服に付いた泥汚れを朝一の冷たい水でパンツ1枚のあられもない姿で震えながら泣きながら洗う・・・一生懸命さは伝わるが、それで結果が出るわけではない
さらに不幸は重なる・・・慣れない手ですすいでいる最中に服が手をすり抜けて流されてしまう!
「あ・・・もう・・・やだよぉ・・・まって・・・まっ!?」
転んで川に転げ落ちて全身ずぶ濡れになる
「あぁ~~あ~~~ん、やだぁ・・・やだぁ~~~~」
心が折れて、泣く・・・泣く・・・泣く・・・
空腹・寒さ・母の怒り・失恋・絶望・孤独な老後・・・あまりにも少女には過酷な話である
泣きながら流された服を探して川沿いを進み、やっとのことで淀みに引っかかった服を見つける
「ひっく・・・ひっく・・・」
服は淀みに溜まった葉や枝やゴミがくっついてひどい状態だ
それでも裸(上半身)のままではいられないので葉っぱやゴミを取っていくと・・・
カランカラン
服に引っかかって引き上げたゴミの中から何かが転がり落ちた・・・
それを見た、少女の涙は驚きで止まった
その後
びしょびしょに濡れている枝や葉っぱまみれの泥汚れが落ちていない服を着たの少女が泣きながら震えながら水桶を担いで家路を進む→途中で帰りが遅いことを心配して探しに来た母親と父親と隣の家のおじさんに発見され無事保護される→→帰宅後に熱を出して寝込んでしまう→お母さんの特製オムレツも食べられず、おかゆになってしまう→遊びの約束がキャンセルになり恋の戦争に敗北→絶望→病状悪化→不治の病→儚く散る(Bad END)
とはならなかった
(前半略)おかゆになってしまう→遊びの約束がキャンセルになり恋の戦争に敗北を感じ病床の枕を涙で濡らす→片思いしていた男の子がお見舞いに来る→嬉し泣きして恥ずかしいけど勇気出して手を握る→普段と違うギャップに男の子ドキドキ(守りたい・・・この笑顔)→手を握った勢いで告白(瞳ウルウル)→実はボクも・・・→カップル誕生→数日後、病状回復→転んでも、ずぶ濡れになっても水汲みをやり遂げようとした娘に両親絶賛感動中!→お母さんが特製のオムレツを含む好きな食べ物満載で回復のお祝いをしてくれる→お父さん頑張っちゃうぞ~と、町に出かけて可愛い新しい服を買ってきてプレゼントしてくれる→彼氏もお祝いに参加→新しい服を着た彼女の何時もと違う可愛らしさに、ますます惚れる→ドキドキしてる最中に彼氏が川原で拾ったきれいな石で作ったネックレスをプレゼントしてくれる→首にかけてくれる→思わずキスを・・・(Happy END)
「はぁ・・・夢みたい・・・」
ベッドに横になって幸福を噛み締める・・・
シーツも洗い立てのサラサラで気持ちがいい・・・
おなかもいっぱいで、胸元にはネックレス・・・
彼が以前川原で見つけた何かの原石、子供達のコミュニティ内では最高峰の宝物認定を受けている逸品
それを手作りのアクセサリにして自分にプレゼントしてくれた!
(作成にあたってゼイルさんが彼に手解きしてくれたと後で聞いた)
嬉しくて、なんか胸の辺りが温かくて、彼のことを考えると恥ずかしくて、顔が熱くて、自然と枕に顔を埋めてバタ足をしてしまう!
「~~~~~~っ!!」
大切な物だから、無くさないようにしまっておく事にする・・・彼の前でだけ着けるの♪(惚気)
今までは大切な物は机の引き出しに入れていたけど、最も大切なこれは特別な入れ物に入れておきたい
そう・・・あの日川原で見つけた・・・この幸運を呼び寄せてくれた宝物に・・・
硬いからネックレスが傷つかないように中に布を敷いて・・・(ギュッギュッ)
そっと中にネックレスをしまい、窓際に置く
「神様・・・ありがとうございます・・・」
彼女は祈りを捧げる・・・この幸せが一生続きますようにと・・・
見たことも無い銀色の光沢を持つ不思議な金属でできた歪みや凹凸が一切無い円筒状の本体に同じ金属の取っ手が付いた・・・・・・・マグカップに