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カルロス、帰館する

 カルロスが戻ると、クレメンスは魔術師協会本部へ出かけた後だった。

カルロスは本部へと向かった。


 カルロスが執務室に入るとクレメンスは書類に目を通しているところだった。

「届けてまいりました」

クレメンスは書類に目を落としたまま「そうか」とだけこたえた。


沈黙が続いた。


「変わりはなかったか?」

書類を読みながらクレメンスは尋ねる。

「相変らず、可愛くありませんでした」

カルロスがそうこたえると、クレメンスは「フフフ」と楽しそうに笑った。


また静かになった。

執務室にある大きな柱時計が時をきざむ。


しかたなくカルロスは口を開いた。

「仕事の方も順調そうでしたよ」

クレメンスは相変わらず、書類から目を離さない。

「認定式には必ず出席すると言ってました」

「そうか。ご苦労だったな」

クレメンスはチラリとカルロスを見てそういうと、また視線を書類に落とす。

カルロスは軽く肩をすくめると、目礼をして出口へと向かった。


「そんなに気になるんなら、自分で届けりゃいいのに……」

カルロスは扉をあけながら、こっそりと毒づいた。

「カルロス」

背後から飛んできたクレメンスの声に、カルロスはビクッとし、振り向いた。

「お前、私に何か言いたいことがあるようだな」

クレメンスが低い声で言った。

鋭い視線がカルロスに突き刺さる。

「い、いえ。なんでもありません」

カルロスは直立不動でこたえる。

クレメンスは、しばらくカルロスを探るようにじっと見つめていたが、「フッ」と鼻を鳴らした。

「まぁいいだろう。行きなさい」

そう言うと、クレメンスは再び書類に目を落とした。

「失礼します」

カルロスは敬礼すると、そそくさと逃げるように執務室を後にした。

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