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カルロス、呼び出される
<登場人物>
カルロス・・・師範魔術師。
クレメンス・・・師範魔術師。魔術師協会の会長。カルロスとロジーナの師匠。
ロジーナ・・・師範魔術師。クレメンスの弟子。
呼び出しを受けたカルロスが部屋に入ると、師匠のクレメンスは腕を組んで窓際に立ち、外の景色を眺めていた。
「ちょうど良いところに来たな」
クレメンスはカルロスに背を向けたまま言った。
カルロスは、自分で呼び出しておいて「ちょうど良いところに来た」はないだろう、と思いながらも、クレメンスに向かって目礼をする。
「それをロジーナに届けてやりなさい」
クレメンスは振り返りチラリと机の上を見る。
机の上には風呂敷包みが置いてあった。
カルロスは机の前に進むと、風呂敷包みを手にとる。
「師範魔術師の正服だ」
クレメンスはそう言い残すと、カルロスの返事もきかずに部屋を出て行ってしまった。
「はいはい。どーせ俺は師匠のパシリですよ」
カルロスは独り言をつぶやきながら、風呂敷包みを持って部屋を後にした。