開く
部屋の扉が勝手に開いている。
どんなにきちんと閉めても、気がつくと開いているのだ。
蝶番やノブの具合が悪いのかとドライバー片手に格闘してみたりもした。
だが、それでもやはり気がつくと開いているので、そういうものだと諦め、
扉が開いてしまうことに慣れてきた頃のこと。
ベッドに座って考え事をしていた時、
キィ、という微かな音が部屋に響いた。
思わず顔をあげると、
正面にある扉のノブが、
小さく音を立てながらゆっくりと回っていくのが見えた。
一人暮らしの部屋。
扉の向こうには、誰もいない。
いないはずなのに、なぜ、ノブが回っていくんだ!?
キィ
軋むような音を響かせ、ノブの回転が止まった。
すぅっと、音もなく扉が開いてゆくーーー
扉が開ききった途端、
ガチャリと大きな音を立て、ノブが戻った。
扉の向こうには、やはり誰もいない。
扉が開いた直後、
みしり
と足音がしたのは、気のせいなのだろうか。
10本目まで、「室内」という縛りで書いていきます。
10本クリアしたら縛りを取っ払って、引き続き屋外屋内問わず書いていきたいなと思っています。
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よろしくお願いいたします(ぺこり)