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〜転生した元勇者は世界一のVtuberを目指す〜  作者: ina
第1章 Vtuber準備編
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第1話 転生そして決意

最初が肝心、とよく言うからな。

自己紹介くらいしておこう。


俺の名は――

アオイ・ヴァルクス。


王国から勇者と呼ばれている男だ。


一応言っておくが、肩書きだけじゃない。

魔王を討ち、世界を救い、勇者としての責務を果たした――

正真正銘の“世界的英雄”である。


……まあ、相打ちだったけどな。


現在進行形で、絶賛死に向かっている。

あと数分で完全に息絶える予定だった。


最悪だ。


視界は霞み、身体は動かず、呼吸もまともにできない。


ああ、もう目も開かねぇ。


くそ……。

魔王を倒したら、あのバカ国王を脅して一生贅沢三昧する予定だったのに。


最後の最後で、魔王の野郎が特大自爆魔法を使いやがった。

死ぬなら一人で死ねよ。

メンヘラか? 魔王。


本当はさ――

大勢に囲まれて、柔らかいベッドの上で、惜しまれながら死ぬはずだったんだ。


まさか、魔王と二人きりで最期を迎えるとはな。

……もっとも、あいつは木っ端微塵になったから、俺だけが後追いみたいなもんだが。


はぁ……。


振り返ってみれば、最悪な人生だった。


田舎の村で、平凡に暮らしていただけなのに。

ある日突然、王国の使者が現れて――


「勇者に選ばれました。魔王を倒してください」


は?

物資は最低限、報酬は成功報酬、拒否権なし?


ふざけんな、クソ国王。


本来なら、胸が大きくて可愛い幼なじみと一緒に、

のんびり幸せに生きていく予定だったんだ。(※願望)


……まあ、その子も、

父さんも、母さんも、隣のおばちゃんも、

魔族の襲撃で全員死んだんだけどな。


そう考えると――

仇を取れたって一点だけは、悪くなかったか。





…………。






………………。






……………………。






――ん?もう結構な時間経ったはずだ。


死んだ、よな?

なのに、なんで思考が続いてる?


痛みも、重さも、何もない。

目も見えないし、身体の感覚もない。


……なんだこれ。

死後の世界ってやつか?


わからん1回、整理しよう。


・魔王と相打ちになって死んだ。 ←わかる


・次の瞬間、目が見えず、動けもしない。 ←わからない


……以上。


さすがに、死んだ経験は初めてだからな。

正解なんて知らん。







それから、体感で数時間ほどが過ぎた。


相変わらず視界は闇だが――

なぜか、触られている感覚がある。


包まれているような、揺らされているような。


……もしかして、生きてる?

治療でもされてるのか?


いや、ありえない。

魔王城に人間が来るわけがない。


……その時だ。


微かに、音が聞こえた。


『私があなたのママよ、葵』


『よく頑張ったな……美晴!』

『葵! かわいいな! 俺がパパだ!』


――は?


俺の名前はアオイだが、

今、呼ばれてるのは……俺か?


それから数日――

いや、正確には“数日後だと分かるまで”時間がかかった。


結論から言おう。


俺は、転生していた。


赤ん坊として。


……なんで?


原因に心当たりがあるとすれば、一つだけ。


転生魔法だけだろうな


俺は使えない。

なら、あれを使ったのは魔王だ。


だが――

なぜ俺が?

事故か?


死人に聞くわけにもいかないか。


ともかく――

せっかく第2の人生を手に入れたんだ。




『生まれ変わったなら、今度こそ自分勝手に生き抜いてやる。』









———


そう決意したのが、五年前。



気づけば俺は五歳になっていた。


転生先はサヴェージではなく、

地球という星。


魔法は存在せず、代わりに科学が発展した世界らしい。


……らしい、のだが。


三歳の時、親にバレないように魔法を試してみた。


――普通に、使えた。


火は灯るし、風も起こせる。

威力は落ちているが、誤差みたいなものだ。


……いや、おかしいだろ。


この世界、魔法ないんじゃなかったのか?


結論から言えば――

魔法が使えるのは、たぶん俺だけだ。


バレたら終わり。

研究対象、最悪隔離。


前世では強制勇者。

今世では人体実験。


冗談じゃない。


周りには絶対にバレないようにしなければ行けない。


そのはずだった.....。


五歳になり、この世界の娯楽を知った。


テレビ。

ゲーム。

インターネット。


そして――配信者。


中でも、VTuber。


顔も正体も隠し、

キャラクターとして世界と繋がる存在。


それを見た瞬間、

俺の中で何かが噛み合った。


「……これだ」


誰にも命令されず、

誰にも縛られず、

“英雄”になれる場所。








……そして、

俺はずっと見ないふりをしていた事実に向き合う。


いや、本当は目が見えるようになってすぐに気づいていた。


でも認めたくなかった。


認めてしまったら俺が俺ではなくなる気がして——。


トイレ、お風呂、衣服、声の高さ、全てが物語っている。


下半身に存在していた相棒は綺麗さっぱりいなくなっている。


そう、俺は———女に転生していた。


これでも俺は、魔王を倒し世界を救った勇者だぞ。


それが今は五歳の女?


ショックのあまり気絶しかける。


気絶しかけた身体を気合いで耐えながら俺は気づく。


魔法が使える元勇者のVtuber


VTuberとの相性が、最悪なくらい良い。


「……世界、取れるな」


こうして俺は決めた。


剣を振るう英雄より、

命を削る勇者より、


画面越しに世界を掌握する存在になる。


元勇者アオイ・ヴァルクス。

現地球人・女・五歳。


目指すはただ一つ。


世界一のVTuber。


今度こそ――

好き勝手に、笑って生きてやる。

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