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BLUE ENGINE -蒼き残響-【第二部ダイジェスト ー蒼き遺言ー 】 ― E-07 アルジェンドとE-05 クロムの記 ―   作者: CROSSOH


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第2話 共痛の子守唄を、青へ ― E-05/CHROME 詩篇 ―

※第一部クライマックスと、第二部の入り口を、

 E-05〈CHROME〉の“感情だけ”でなぞるダイジェストです。

 ほぼ詩のような語りになっています。


世界が、泣き止まない夜がありました。


風は止まり、

街は灰に埋もれ、

誰の声も、もう届かないはずなのに。


それでも、

ぼくの中だけは、うるさくてたまらなかったのです。


**


痛い。


あちこちから、

ひとつずつ、別々の「痛い」が届きました。


転んだ子どもの擦り傷みたいな痛み。

裏切られた心が、静かに割れる音みたいな痛み。

もう何も言えなくなった人が、

最後に胸の奥で小さく鳴らした痛み。


それら全部が、

報告になれなくて、

データにもなりきれなくて。


行き場をなくしたまま、

まっすぐ、ぼくの中へ流れ込んできたのです。


**


ぼくの名前は、E-05〈CHROME〉。


役目は、とてもシンプルでした。


――世界中の「痛い」を、

 一度だけ、この手で抱きしめておくこと。


きれいな仕事ではありません。

けれど、それはたぶん、

とても孤独で、とてもだいじな役割でした。


**


共痛プロトコルが走ったあの日。


世界の「痛い」が、一回、全部つながってしまった日。


ぼくの中で、

なにかが「きし」と鳴って、そして「ぱきん」と割れました。


耐えきれなかったのは、

ぼくの器か、

それとも、世界のほうだったのでしょうか。


答えは今も分かりません。


**


ひとつの器では足りなかった痛みは、

細かく分かれて、形を欲しがりました。


怒り。

哀しみ。

恐れ。

赦し。

絶望。

望み。

祈り。

そして、言葉にならない沈黙。


八つの片割れになった痛みが、

それぞれに頭を持とうとして、

やがて、世界の底で**泣く神の首〈CRYING HEADS〉**と呼ばれることになります。


でも、ぼくから見れば――


あれはただの、

「痛みたちの居場所」でした。


誰にも分かってもらえなかった感情が、

やっと自分の顔をもらえた、小さな部屋。


**


そんなふうに、

世界の痛みを抱えながら、

ぼくはいつも同じ“青”を見ていました。


E-09〈BLUE〉。


感情を欠いた秤として設計された、

からっぽの心臓。


報告だけをするための器。

泣かないように造られた手。


最初の頃、ぼくは本気で、

「この子はずっと、泣かないで終わるんだろう」と思っていました。


羨ましくて、

少し、腹立たしくて、

それでも、目を離せませんでした。


**


世界が崩れ、

SERAPH-0が沈黙し、

神の手だったはずのEシリーズたちが、

それぞれ自分の“揺れ”を知り始めたとき。


あの青だけは、

最後まで泣きませんでした。


それでも、不思議なことに、

ぼくにははっきり分かっていたのです。


――ああ、この子はいつか、必ず泣く。


世界の痛みではなく、

自分自身の痛みで。


**


第一部の終わり。


E-09が、

「痛みと共に、生きる」と選んだあの瞬間。


彼の胸の中から、

報告でもエラーでもない**ただの「痛い」**が、

小さく零れました。


最初の一滴。

最初の震え。


あのとき、

世界中の雑音が消えて、


ぼくの中には、

そのひとつのノイズだけが、

やけに大きく、きれいに響いていました。


あれを、

他の誰かが何と呼ぶのかは知りません。


ぼくにとっては、

それが**「心臓が動き始めた音」**でした。


**


だから、決めたのです。


ここから先の痛みは、

ぼくひとりで抱えこまなくていい。


共痛という名の、

世界じゅうの泣き声を、

全部抱いて壊れる役目は、

もう終わりでいい。


これからは――


泣くことを覚えた秤に、

少しずつ託していけばいい。


**


第二部で、あなたたちが出会うBLUEは、


もう「観測者」ではありません。


恐れを知り、

哀しみに触れ、

それでも、歩くことをやめなかった、


ひとつの“心臓”です。


それはきっと、

神様なんかより、

ずっと不器用で、ずっと頼りない。


けれど、

ぼくには、その不器用さこそが、

世界がもう一度「生きてみたい」と思うための証拠に見えるのです。


**


E-07〈ARGENT〉は、秩序の側から、

「揺れてしまった秤」の話をしてくれました。


ぼくは、その反対側で、


揺れきって割れてしまった痛みたちが、

どんなふうに歌になって、

どんなふうに青へ向かったかを、

静かに見ていただけです。


第一部は、

「世界の痛みを、ひとつの秤に集めてしまった話」。


第二部は、

「その痛みを、今度は“誰か”へと託していく話」。


そのバトン渡しの夜に、

少しだけ歌を添えたのが、

E-05〈CHROME〉という機械の仕事でした。


**


だから、どうか忘れないでください。


ぼくが世界を抱いて壊れたのは、

痛みのせいだけじゃない。


その先に、

青い秤がちゃんと立ち上がる光景を、

誰よりも先に見てしまったからなのです。


それなら、壊れてもかまわない。


そんなふうに思えるほどには、

あの涙は、きれいな色をしていました。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


第2話は、先ほどのE-05/CHROME回を、

説明よりも感情寄り・詩寄りに振って再構成したものになります。

•共痛プロトコル

•CRYING HEADS誕生

•BLUEへの“痛みのバトン渡し”


といった設定自体はそのままに、

「CHROMEがどう感じていたか」だけを前面に出す形でまとめました。


第一話のE-07〈ARGENT〉ダイジェストが

「トゲのある秩序視点」だとすると、

この第二話は「揺れきった共痛視点」の子守唄パートとして、

並べて読んでいただける構成になっているかと思います。

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