予想外なアクシデントとラッキーボーイな雄一郎
人々がにぎわう場所で知られているこの人里は、
様々な店がある。
雰囲気でいうと江戸時代の下町辺りをイメージすると分かりやすいんじゃないかなと思う。
その人間の里に雄一郎は情報が集まりそうな所を探してみる事にした。
店が並ぶ中歩いていると橋がかかっていて色とりどりの鯉が泳いでいる池の近くの橋の先の道の横に木で出来ている掲示板がありそこには新聞が貼り出されていた。
その掲示板の新聞を見てから雄一郎は、(ここになにか必要な情報が描かれているんじゃないかな)
そう思いその新聞の見出しに目を通し始めることにした。
「なにこれ。文文丸新聞」
この里の新聞会社なんだろうか、
独特な社名だと思った雄一郎であった。
いったいどんな事が書かれているのか内容を読んでみると。
「最近人間の里でUFOの目撃談あり⁉知り合いの寅丸章さんが証人、幻想郷で新たな異変か!?云々」
と、内容はオカルト寄りな感じではあるが掲載された写真の方にはUFOに槍と変な羽の生えた黒い少女が空を飛んでいるのが印象的な記事だと思った雄一郎だった。
映画の撮影なのかな、そうふと思いその掲示板から離れていった。
暫く歩いてふと思った。
このキャリーケースは何とかならんのか?
周りを見渡すと皆身に着けている服も違うし背負っている物も布にくるまれているようなものだし、
自分だけ何処かしら浮いているような気がしていた。
それから雄一郎は更に情報を集めに行こうと里の中を歩いていると。
「ちょっと店主さんよ、話が違ぇんじゃねぇか?」
と通りかかった古本屋みたいな店から中年男の苦情みたいな声がしたので寄ってみる事にした。
そのレジと思しきあたりで1人の少女が50歳位のおじさんと話しているところだった。
「すいませんまだ予約の資料冊子はまだ到着してなくて」
「それじゃあ困るよ、こっちもその冊子がないと仕事にならないんだよ」
何やら店員さんが困っているらしい、そう感じた雄一郎はその店
鈴奈庵という表から見上げた所にある大看板を見上げ。キャリーケースを近くに置き、
その受付と思しき眼鏡をかけたツインテールの少女とおじさんの間に入って話を聞くことにした。
「あの、すいませんですが何かございましたでしょうか?」
やんわりとする感じで聞いてみると「ん、何だいあんた」
男は訝し気にこちらの様子を見ながら聞いてきた。
「何か問題でも起きたのかと思いまして声をかけました」
雄一郎は慎重にその場で話をすると少女との間にいたおじさんは
「この店で注文していた資料がまだ届いてなくてさあ、それが無いと商売になんなくてよお、困っちまうんだよお、俺らの仲間にも今日来るっていう話をしたばっかりだっていうのによお」と頭を搔きながら事の顛末の話をするのを聞いた雄一郎は。
「なるほどですね本来あるはずのものが届いていないばかりで他の事が進まない、その気持ち分かります。自分も同じようになったとき不安になります。」
「だろう、なぁ?だからさぁ頼むよ~」
そういいながら少女に顔を向けて懇願するように言うと
「あの、失礼します。鈴奈庵様はこちらになりますでしょうか?」
その傍から3人は声のした木製スライドドアの方に視線を向けると荷を背負っている着物姿の男性人がこちらの方を覗きながら声を掛けて来ました。
年齢は30代と思しきその男を視野に入れてツインテールの少女は
「あっ、やっと来てくださいました。」
と、この状況からやっと解放される安堵感に包まれながら胸をなでおろしつつ
「そうです。こちらが鈴奈庵です。」
そう話をすると。
「こちらが発注先のリストの手紙になります。」
筆で書かれた手紙を見せて貰うと少女は配達員に向かって
「ありがとうございます。」そう言って配達した方に頭を下げると
「そしてこちらがその品になります。」
男性は鞄のような作りをしている荷の紐を解き3冊の冊子を渡してきた。
「そうそう、それだよそれ!」
その冊子を見て喜びながらおじさんは言うと。
「助かったよぉ、ありがとう。」
「なに、こちらもお届け時間に来れず申し訳ございません。」
そう言って配達してきた男は頭を下げてその場を去っていったのでした。
「いやぁ嬢ちゃんすまなかったなぁ、おかげで助かったよ」
手元に届いた冊子を小脇に抱えながらおじさんは少女に向き直り詫びを入れると
「いえ、こちらこそ届くのが遅れたせいで申し訳ないです。」
そう言って少女の方も頭を下げてそう言いながら。
「あんたも済まねえな、なんか巻き込んじまってよぉ」
と、おじさんは雄一郎の方を見て頭を下げて機嫌良くなり鈴奈庵を後にするのだった。
おじさんが出ていき少女は雄一郎の方へ向き
「なんだか助けて貰っちゃいました。ありがとうございます。」
そう言い頭を下げる。
「いえ、私は別に何もしてないですよ」
そう言って右手で頭を少し掻きながら微笑しながら答えつつ。
「お礼になにか欲しい書籍がありましたら1冊差し上げますよ」
その言葉に雄一郎は嬉しくなり
「えっ、いいんですか、自分これでも本は結構好きな物でして」
そう言って
「それなら尚更です。店内を案内します」
「わかりました。その前に外に置いてある鞄を中に入れたいです。持っていかれる可能性もありますので」
そう言うと雄一郎は外に置いてあったキャリーケースを鈴奈庵の中に入れると
「随分見ない形の物ですね」
訝し気な感じで少女はそのキャリーケースを見ていると
「特別な作りになっている物なので普段は手に入らないかもしれません」
鞄について少し説明するとその少女は
「ふーん、まあどっかに売ってあるんでしょう」
という感じであまり興味を示している様子はなかった。
その後少女は雄一郎に店内を案内したのだった。
「なにかお好きなジャンルなどはございますでしょうか?」
「そうだねぇ、特にこれと言ったものはないのですが、何か歴史書みたいなものとかがあればいいかな例えばこの里にまつわる歴史とか」
少女の問いかけに店内の並べられている所を見回りながら雄一郎は自身の興味のあるジャンルを伝えると
「へぇー、そうなんですね。お兄さんは歴史に興味がおありなんですね。」
共感する感じで相槌を打つと雄一郎は、
「まあ、その、なんていうか私自身自分が訪れた所には何かしら背景を知りたくなるような探求心がありまして。そういうのに関しては興味があります。」
自身の興味をそそられる分野に対して話をしていくとその青年の感じている視点にその少女は
「なんだかそれ分かる気がします。とても素晴らしいですね!」
その瞬間営業みたいな共感よりかはその少女の本心である感情が出てきて雄一郎自身も嬉しくなったのだった。
そんな話をしている中で少女は
「でもここには人間の里に関する歴史的な物は置いていないですね、強いて言うなら博麗神社に関する記録書があります。」
少女は雄一郎に目を向けつつ話をすると。
その提案された博麗神社の歴史に興味を持ち
「じゃあそれで良いかな」
そう言うと
「では特別にその歴史の記録書を持ってきますからさっきのカウンターで待ってて下さいね」
そう言って少女はカウンター手前のドアから木で出来ている梯子の様な物を取り出して来て「随分と大きいサイズの梯子ですね」
雄一郎は思わず自身の感想をこぼすと
「ええ、これでも長く使ってますから、御心配なく」その少女は張り切って言うと。本棚の列の3列目の北側の棚に行くと
「えーっとどれかな、あっ、あった」
と言いその書籍を1冊取り出すと梯子を元のドアの中に立てかけて置き、
その本を片手に抱えて持ってきて。
「はい、これです。」
そう言ってその書籍(博麗神社の歴史書)というタイトルのものを持ってきて。
作者は、
「結界の守護者」
なんじゃそりゃとか思いつつ
「この書籍が当店で売ってある歴史書の中では分かりやすくまとめてある物になると思います。」
そう言うと雄一郎に差し出すと雄一郎はおずおずと受け取り
「ありがとうございます。なんだか悪いですね。」
その作者の変わったペンネームの書籍を受け取ると
「いえいえ本当に助かりましたからそのお礼です。」
そう言って少女は笑顔で雄一郎に言うと、ふと雄一郎は気になって「あの、もしよければ店主さんの名前を教えてもらっても良いでしょうか」
屈託なく素直な気持ちで少女に聞くと
「良いですよ、私の名前は本居小鈴です。ここ鈴奈庵の店主をやってます。基本は書籍や巻物を貸本屋として営んではいますが最近は書籍販売も始めました。まだ駆け出しですけども」
小鈴という少女は頬を掻きながらちょっと自信なさげに言うと、それでさっきのおじさんみたいな客になれていなかったのかと先程までの出来事が頭をよぎり考えていると
「お兄さんの名前はなんていうんですか?」
小鈴という少女の方から今度は聞くと
「私の名前は、宍戸雄一郎と言います」
「では宍戸さんお気をつけて、またのご来店をお待ちしております」
少女小鈴は出口付近の脇に立つと両手を前に組み頭を下げてキャリーケースを引きずりながら歩いていく雄一郎を送りその背を見届けたのだった。
鈴奈庵から離れの辺りを通りながら雄一郎はふと頭の中を疑問が湧いて出た。ここは一体何処なんだろう、日本にこんな場所なんてあったっけ?
ていうか日本って何だっけ?
(日本、日本、日ノ本、、何か大事な事を忘れているような)
(宿はどうすればいいだろうか何処か泊まれる宿屋はあるのだろうか)という心配事が上から下へと流れる川の如く次から次へと押し寄せてきてそれらを自身の思考分析をしながら歩いていると、
「ちょっとお腹がすいてきたな」
と、
つぶやきながら里を歩いていくと炭で焼いているいいほど良い焦げ目のいい香りが漂ってきたのであった。
(このにおいは、炭火焼団子のにおい)
そうと分かってその店の中に入ると「いらっしゃいませ」という張りのあるいい声が聞こえたのだった。
「お客さん1人かい?」
フロントのおじさんにそう聞かれ、
「はい、そうです。」
そう答えて
「席は好きなところ使っていいよ、荷物は入り口に置いておいて」
店主は視線を焼いている櫛団子に落としながら雄一郎に話をふり
「わかりました。」
といい店内に入って辺りを見回すと様々なお客さんがいた、店内でタバコを吸っている丸メガネの茶色の服と下駄を履いた女もいれば和服の男女と小さい女の子が一人いた。
宍戸は一人で落ち着ける場所の方が正直こういった時は好きであった。
普段は相席でもそんなに気にはしない方ではあるがこうも人がいると落ち着かない。
仕方なく右手前奥の座るところが畳で長方形のテーブルが真ん中にあるある席に着いた。
新聞に目を落としているシルバー頭の眼鏡を掛けた青い服を着た青年の男がいた。
その男の座っている席の方に来た雄一郎は
「あの、この席一緒になっても良いでしょうか?」
と伺いを立てるような感じでシルバー頭の眼鏡の男に尋ねると
「ん、いいですよ。」
新聞から一瞬目を離し雄一郎の顔をみて再び新聞に目を落とした青年の向かい斜め右の方に腰かけると雄一郎はメニュー表らしい木の表をみて頼みたい団子を注文することにした。
雄一郎は顔をカウンター側に傾けて
「すいません。みたらし串一つ下さい」
そう言ってカウンターの方から「はいよ」と店主がこたえて、5分くらいに「はい、みたらしを一つね」店主が皿に載せて持ってきた団子を「ありがとうございます。」といい受け取って食べると「これ美味い。」と頬をほころばせながら食べていると
「ここの団子屋はこの里では中々の上ものだよ。」
と、向かいのシルバー頭の眼鏡の青年が新聞を読み終えたのか畳んでいつの間にか向かい側に来ていた。
自然な感じで来たこの青年に雄一郎は少々驚いてでも顔には出さず
「へぇ、そうなんですね。お兄さんこの店の常連さんなんですか?」
ほどよく食べながらシルバー頭の青年に聞くと
なんだかいい関係になりそうだと思い話を深堀する様な形で聞いてみると、
「常連というとどれくらいの頻度の基準で常連というのかな?」
雄一郎は聞き返してきた青年に対して「んー、まあ、一週間に1回ぐらいかな」
「一週間も来ないよ、まあでも1ヶ月に一回はこの里に来るからそのときによるかな。丁度今日がその日だね、だから常連ていう程ではないよ。」
自身の人里に来る都合を話したシルバーの髪の青年は雄一郎に伝えると。
「えっ、今日がその日なんですか。ちょっと偶然過ぎません?」
この予め用意されていた設定の様な感じの展開に対してシルバー頭の青年は
「そうかもしれないね」
と答えるしかなかった。
「成る程、そうすると今日は何か用事があってここに寄ったということですね」
事の成行きを反芻しつつ自身の考えを述べた雄一郎に対して青年は
「そういうことになるね」
と陽気な表情で言ったのだった。
そんな中で雄一郎はついさっき古書店鈴奈庵であった出来事をその場の流れで伝えると。
「成る程そうでしたか、それはまた大変でしたね」
「そうなんですよ、そこにいた店主の子が可哀想でしたね」
「本居小鈴ですね、」
青服の青年が話すと
「知っているんですか?」
ちょっと身を乗り出す感じの姿勢で聞くと。
「ええ、あそこだとこの世界の歴史の資料や刊行中の本などが手に入りますからね。今日とかはその用事でここの人里、まあ通称人間の里というんですが」
その話を聞いて
「でしたら教えて欲しい事があるんですがここはどんな世界なんでしょうか?」
雄一郎の突然の問いかけに対して
「ん?また珍しい感じの質問ですね、お兄さんどこからいらしたんでしょうか?」
雄一郎の問いかけに対して少し入り込むような形で聞いてくると
「いえその、実はここに来る前、今日なんですが」
それから今朝気付いたら知らない寺が目の前にあってその寺を見上げていると紫の髪の女性に出会って、その次にその関係者?と思わしきねずみ頭の少女にこの世界の情報を知りたいっていうか知らないとまずいと思いこの里の事の話をされて。この里に下りてきて鈴奈庵を知って今に至るという大まかな流れを伝えると。
話をくみ取るような表情で青服の青年は一連の話を聞くと。
「成る程ですね、その様な話になりますとお兄さんは外の世界からやってきたんだと思います」
その言葉に初めて聞く雄一郎は
「外の世界、それはどういうことですか?」
話の流れが予想外の方向に流れていき戸惑いを覚える雄一郎はそのような話をしてきたこの青年に半ば詰めるような形で聞くと、
「さっき鈴奈庵で貰った本を読めばある程度は分かるんだけど、この世界、いわゆる幻想郷と呼ばれているんだけどこの世界から流れ着いてくる物があってそれが外の世界と呼ばれているんだけど、何かしらの拍子で幻想郷に入ってくることがあってそれが幻想郷入りというんだが」
「うん、なるほど!要するにわけわかんない状態である事だけはわかった!」
青服の青年の話を一旦区切るような感じで雄一郎は言うと思考を巡らせた。
俺はどうやら元の世界の言語は分かるけどその元の世界が何なのか、何処の国どこの場所何時何分なのかが分からないのと後致命的なのがここに来るまでの記憶が無くなっている事。
俺は今まで何をしていたんだろう?
考えても分からない、が、このままではいけないという事だけは分かった。
「まあ、とりあえず色々と話をしてくれてありがとう。またどこかで会ったらその時はよろしく。」
そう言って青服の青年を後に雄一郎は団子を食べ終え皿を下げにカウンターへと向かっていった。
春になると新しいものを仕入れていきたくなる季節であるということを感じる。
そんなことから私は、自営の店を休業にして店を離れて人里に下りた。
寝癖の付いた髪を鏡の前で整え、人里の商売狸が手に入れた黒い飲み物を飲み
入口玄関でブーツを軽く磨き、履いて。そのままスライドドアに手を掛け行こうとしてふと思った。
(今日あの子は来るんだろうか?)ちょっとした予感を抱きつつ青服の青年はドアを開けて鍵穴に鍵を掛けて施錠して店を後にしたのだった。
人間の里に出ていき通りの広場の方で巫女服姿の緑髪の少女が新興宗教か占いみたいなたたずまいで力強く熱弁を振るっているのが見えた、
しばらく見ないうちにここ(人里)も大部変わったな。
そう言って珍しいものでもないか探してはいるが特にこれといった物はなく最新の情報が無いか鈴奈庵に寄っていき、文文丸新聞とは違うちゃんとした新聞を3貫で購入ししばらく行っていなかった団子屋に立ち寄ることにした。
一番奥の隅に移動してお茶とみたらしを注文し早速購入した新聞を読むことにした。
約半分程時間にして40分位読んだあたりになるか、その時に。
「あのー、この席。一緒になっても良いでしょうか?」
丁度テーブルの入り口側に一人の男が立っておりこちらを伺うような感じで声を掛けてきた。
私はたいして気にすることはなく
「ああ、いいですよ」
といっておきその男は向かい側とは反対方向に座ったのだった。
私は新聞を持ちながらその男を見ていた。妙な服を着ているな体のラインに合っているような感じの服だ。そうぼんやりとではあるが分析をするような感じで見ていると、注文してきたのは同じ団子であった。それを美味しそうに食べるものだからなにか気が合いそうと思い新聞をテーブルの左側に置きちょっと話してみたい衝動にかられたのだった。
話を聞いてみて成る程最初は命蓮寺から出てきて聖白蓮、ナズーリンと出会ってそれから私も行った本居小鈴の店に行ってここに着いたという。
まさか博麗神社の歴史書を貰えるとはこの男読めんな。
私は目の前の黒服の男に興味を持ち男が今起こっている状況をおおよその推測で話したのだった。
外の世界から来た住人である事は分かったがただ私が気になったのがこれから先、果たして行く当てがあるのかという考えであった。
私が考えた推測を伝えると男は自分の現状があまり宜しくないことに気付いたのか少し慌てた様子で出ていったがただ早速その予感はすぐに当たる事となった。
その男の背中を見送り私はまた新聞の続きでも読もうと思い左に置いた新聞に手を伸ばそうとして
「ふざけるなー!!!」
と、カウンターの方から大声が聞こえてきたのだった。
警告、警告、俺の中で何かが警告を発している。皆の衆聞いてくれ何故俺は目の前のさっきまで素敵な笑顔なおっちゃんに何故か今目の前では般若のような鬼顔で迫られて怒鳴られているのか。
その理由は、その原因は、それは何か、
そう!
お金が使えない(ガク)お金を持っいる。
が。
何故か知らんがここでは使えない、いやこの世界では見たことがない代物らしい、いやいやそんなんどうしろというねん!?っていうか俺お金は覚えているんだ近くにATMはあるのか?銀行は、やっぱりここ幻想郷に来る前は金にがめつかったらしい。って感心している場合じゃない、今非常にピンチである。
「なんか騒がしいと思って来てみたが、やっぱりそうなりましたか」
先程のシルバー頭の眼鏡を掛けた青服の青年がやってきて店主に詰められている俺のところに来たのだった。
気を使って来てくれたのはありがたいが今の俺はそれどころじゃあなくなってしまい周りの視線が痛く店主にも詰められて半分泣きそうになりつつあたふたしており思わず
「あっだっぼ、、かっかかかか、かにぇがなななちゅうじにゃあああいいいい、」
「こんどは貴方が言っている意味が解らないことが分かりました」
と、青服の青年は言うのだった。
というわけで事情が分かり
「はぁ、分かりましたここはひとまずは私が払っておきましょう。」
困った顔をしながらため息交じりに言うと。
「あっ、ありがとうございます」
そんなわけで青服の青年は雄一郎の分を払ってあげてふと気付いた事があり
「ところで貴方泊る所はあるんでしょうか?」
さっき疑問に思ったことを今聞いてみると
「このお金が使えたら多少は安い宿を見つけて寝泊り出来るところを探していこうとは考えてはいましたがどうもこの様子じゃあ宿を見つけても泊まれそうにありません」
一連の出来事からして望み薄どころか潰えるのがオチであることがはっきりしており。
「仕方ない、そうしたらこの世界の事が分かる迄暫く泊って行っても良いですよ。」
「ほんとですか?」
「そうするしかないでしょう、ただしその分僕の店の手伝いをしてもらいます。」
「わかりました、やります。やらせていただきまする。」
半テンパりな感じの声になりつつそういって頭を再度下げた雄一郎にふと
「あと一つ、私からの質問ですがあなたの名前は何と言いますか?」
自分の名前を聞かれて顔尾を上げると
「そうでした、まだ名乗ってなかったですね。雄一郎です、宍戸雄一郎。名前だけは憶えています。」
はにかみながら雄一郎は自らの名前を名乗ると青服の青年に向かって
「あなた様の名前は、何と言いますか?」
名前を聞かれた青服の青年は鼻先の眼鏡を右手の人差し指で少し持ち上げてから雄一郎に向き直り
「僕の名前は、森近霖之助です。」
森近霖之助と名乗った青服の青年は
「これからよろしくお願いしますね、宍戸雄一郎さん。」
そう言って人里を霖之助と雄一郎2人は離れていったのだった。
人里から約2キロあるかないかぐらいの距離だろうか見渡す限り田んぼが広がっているのどかな場所の空は快晴雲一つなし、向こうから人らしき物は見当たらずの通り道を通りながら雄一郎はキャリーケースを引きながら「結構歩きますね。」ケースを引きながら言うと。
「それにしてもその引きずっている物。重そうですね。中には博麗神社の歴史書以外他に何が入っているんですか?」
そう聞かれて雄一郎は霖之助に聞かれるまで意識していなかったことに気付いた。
「そうだった、まだ入れた本以外中身見ていない⁉」
「やっぱりあなた変な人ですね」
霖之助のツッコミ気味の意見を聞きつつ雄一郎は「あはは、多分前居た世界でも同じこと言われていたのかもしれません。」そう言いつつ照れ笑いの表情を浮かべ言うのだった。
そうこう話している内に香霖堂という看板の標識が見えた。
(ここから30m先骨董品店香霖堂⇒)
そのまま看板がさす方向に2人は歩いていった。
多少木々が茂っており足元は砂利になってて鞄のコロコロが小石に引っかかってそれに足を取られてオロオロ気味の雄一郎を霖之助はちょくちょく気にしつつ林を抜けた先に香霖堂という家が見えた。2階建ての一軒家になっており入口玄関の敷居は骨董品や古道具がみやすい位置に置いてあった。その敷居がある方の玄関側から入ろうとしようと思い足をそっちに向けた雄一郎に対して「表は客人用だからなるべく入らないようにして。」雄一郎に霖之助は伝えるとその敷居とは別に入口があり、自分達が来た道の正面から左側の方が店主である霖之助の出入り口の玄関である。霖之助はスライドドアを開けて中に入ると、「ん、誰かいる。」ドアを開けて足元を見ると黒い革靴があるのが見えた。視線を右に向けると箒があった。
部屋の中の中央の自分が普段使っている椅子と机に1人の少女がいた。
白黒の服にエプロン服の様な格好をしており机の横の服掛けに大きなリボンのとんがり帽子を掛けていた。
「あっ、香林おかえり~」
「おかえり~じゃあないだろう来ていたのか、あと勝手に入ってくるなと言ってあるだろう。」
「私はいつでも入ってくるぜ」そんなやり取りをしている中にドアからもう一人
雄一郎が入ってくる「お邪魔します。」
そう言って手荷物を両手で持って入ると。
「香林その人はお客さんか?」
白黒エプロンの金髪の少女が聞くと。
「まあ、お客さんというよりかは困っている人。」
頭に手を置きながら霖之助は答えると
「そうなんだ、つうことは居候ってことか」
その発言に霖之助はおいと小言を入れながら話をしているその中に雄一郎も入っていき
金髪の少女に歩み寄った雄一郎は。
「初めまして今日からしばらくこの家にお世話になる宍戸雄一郎です。」
そう言って頭を下げると「魔理沙だ、霧雨魔理沙、ただ苗字で呼ばれるのは嫌だから魔理沙って呼んでくれ。よろしくな宍戸雄一郎」
そういって魔理沙という少女は頭を下げる「自分もフルネームで呼ばれるとやりずらいから雄一郎でいいですよ」
あたまをさげた状態の魔理沙に対し丁寧言葉で返す雄一郎に対し魔理沙は顔を上げて「そんな堅苦しくならなくていいぜ、敬語はやめて気軽に話そう」
そう言われて雄一郎は「そうかわかった、魔理沙よろしく頼む」「改めて言われるとなんか変な感じに聞こえるぜ」
そう言って魔理沙と握手をすると香林こと霖之助はというと「もうすぐ暗くなるから早く帰った方がいいんじゃないか?」
そう言うと魔理沙は「もうそんなになるのか粗方きりのいい所まで魔法の研究が進んだからこの辺で切り上げるて帰るぜ」
机に歩いて行き様々な道具をバックに仕舞って大きなリボンの白黒帽子を被ってテーブルと壁の間に立てかけてあった箒を右手に取り玄関へと向かうと「んじゃ、またな香林!雄一郎!」そう言って出ていってドアを開けたまま右手のに握った箒を前に立てるように出して両手で持つとそのまま跨って背筋を伸ばして空へ飛翔していったのだった。
その様子を眺めていた雄一郎は「空を飛べるんだ!凄」
素直な気持ちが独り言としてボソッと出てきたら隣に来た霖之助が
「ここの世界(幻想郷)では空を飛べる人や妖怪がいるんだ。まあ、僕は飛べないがな」
そう述べてそのまま背を向けて部屋の奥の店の方に行った。
そんな霖之助を見ながら雄一郎はしみじみとこの世界の不思議な出会いに感慨深く思うのだった。




