15話:学園祭5 意外な相手
私がヒロインに選ばれて次の日。
クラスメイトの1人にまとめ役を任せて、セレーナと一緒にグレイシア先輩たちの元へと向かった。
「今日は役の発表と顔合わせがあるの。楽しみだわ、私が考えたキャラが現実に現れるみたいで!」
「はは……嬉しそうね。ということは、私の相手役も決まったってこと?」
今回の劇はセレーナが台本を務めていて、もちろん内容はラブストーリーだ。
私がヒロイン、ということは恋仲になる相手役がいるということ。誰なのか、とても気になるわね。
「相手役はね……今は秘密!でも、安心してね。アリシアの知っている相手だから」
「知っている相手?」
私の知り合い……やっぱり同じクラスの人?
グレイソンくん、クラウザーくん、アルヴェールくん……
私はクラスメイトの男子の名前をあげていったが、全く見当がつかない。
「失礼します」
考えている間に教室についたようだ。セレーナがドアをノックして、一言言ってから扉を開ける。
教室の中には、1年生の子や、3年生の先輩の他、同じ学年の顔見知りの子などが何人か。
それに──……アラン!?
「全員揃ったようね。じゃあ、席に座って自己紹介を始めましょうか」
みんなが席に座りはじめる。私はアランの隣に座って、彼に小声で聞いた。
「……アラン、どうしてここに?」
「どうしてって、役に選ばれたからに決まってるだろ?」
この教室にいるということは、役に選ばれたからに決まってるだろうが、私は驚いてつい聞いてしまった。
「それじゃあ、アリシアさんから。自分の役と、学年と名前をお願い」
アランになんの役になったのか聞こうと思った矢先、グレイシア先輩からそう言われた。私は椅子から立って、話し始める。
「ヒロイン役に選ばれました。2年生のアリシア・ヴァルディアです。よろしくお願いします」
簡単な自己紹介を終わらせ、ぺこりと一礼して私は席につく。
「じゃあ、次はアランさん」
「はい!ヒロインの相手役に選ばれた、2年生のアラン・レオリスです。よろしくお願いします」
ヒロインの……相手役っ!?私は驚いて前に立っているセレーナの方を向く。彼女はニヤニヤしながら私の反応を楽しんでいるようだ。
……セレーナっ、前もって教えてくれたっていいじゃない!
◇
「それじゃあ、今日は台本を読んで全体の流れを確認します」
全員の自己紹介が終わった後、先輩はこの後の流れについて説明した。セレーナが台本を配ると、一斉に読み始める。
『星の下で出会う2人』
【リディア】ヒロイン:平民生まれの少女。
【レオン】ヒーロー:貴族の少年。
私は台本に書かれた簡単な説明を見て、驚いた。
ヒロインは平民出身で、貴族のレオンと身分違いの恋に落ちる──そんなストーリーのようだ。
「私は平民の役をするのね」
「俺は貴族の役か。まあ、実際の立場と変わらないし、やりやすそうだな」
平民……上手く演じることができるかしら?
それに、他の問題はラブストーリーなら当然、甘いセリフや距離の近いシーンもあるはずだ。
「アリシアって、演技できるのか?」
「うーん、したことないけど、頼まれたからには全力でやるわ」
「お、頼もしいな。……でも、俺との恋のセリフとか上手く言えるのか?ほら、ここの『私は……あなたが好き』っていうセリフとか」
「っ、……そ、それは……」
実際に言うところを想像すると、気が気じゃない。急に恥ずかしくなって、顔が赤くなる。
「はは、楽しみだな」
「もう、やめなさいよっ!」
私たちのやり取りを見ていたセレーナが隣にきて、口を挟んできた。
「いいわね〜!この雰囲気、まさにこれが私の求めていたものよ!」
「……はぁ?」
「2人ってすごく仲がいいから、あんまり演技しなくてもいいんじゃない?そのままでも十分素敵よ」
セレーナの無邪気なセリフに、私は絶句した。アランはというと、少し黙ってから小さく笑った。
「確かに、俺は演技しなくてもアリシアに恋してるしな」
「「えっ!?」」
私とセレーナの声が重なった。
……待って、何さらっと言っているのこの人!?




