12話:学園祭2 不思議な気持ち
放課後の話し合いが無事終わり、私はセレーナと一緒にエレナが待つ校門へと向かった。
「2人とも遅かったね。学園祭の出し物、決まった?」
「ええ、無事に決まったわ。私たちは──」
カフェを出すの。そう言いかけたとたん、エレナの横に見慣れた黒髪が目に入った。
「えっ!?アラン……?」
思わず足を止めた。まさかここに彼がいるとは思わなかったからだ。
「それで、出し物は何にするんだ?」
アランは当然のように私に話しかけてきた。
「ええと……私たちはメイ──」
「ちょっと待ってアリシア!」
私が言い終わる前に、セレーナは慌てて口を押さえてきた。
「むぐ……はんひぇほえふほ?」
「カフェの内容は当日まで秘密よ。真似されるといけないし、みんなを驚かせたいからね!」
セレーナはそう言い切ると、私から手を離した。私は彼女の言い分に納得して、ずっと気になっていたことを尋ねた。
「ところで……なんでアランがいるの?」
不思議そうに尋ねると、エレナが代わりに答える。
「レオリス君は私と同じクラスなの。今日の話し合いで、一緒に話し合いを進めることになって……それで、さっきまで学園祭の事について色々話してたのよ」
「そうなのね……」
私はなんとなく、いつもと違う気持ちを感じるような気がした。同じクラスとはいえ、2人が話しているのを見るなんて初めてで、それがなぜだか不思議な気持ちを呼び起こす。
「それで、そっちはどんな出し物をすることになったの?」
「俺たちは脱出ゲームだよ。色んな謎解きを用意してるから、めっちゃ楽しめると思う。アリシアたちも来てみてね!」
「そうなの。楽しそうね」
「あっ、そうだ。さっき思いついたんだけど……」
エレナは出し物について、アランと話し始めた。2人の中には入らなくて、なんだかもどかしい気持ちを感じた。
セレーナと私は2人が楽しそうに話す様子を少し離れたところから眺めていた。
「……なんだかあの2人、仲がいいわね」
つい口から出てきた言葉に、セレーナがにやりとした顔で私を見た。
「どうしたの?アリシアらしいないわね。もしかして、ちょっと気になっちゃう?」
「そっ、そんなことないわよ!ただ、2人が話しているのが少し意外だなって思っただけよ」
「ふぅん?」
セレーナは明らかに私をからかっている。その態度に少しむっとしながら、2人を見つめた。
……なんでこんなにアランのことが気になるのかしら。
いや、きっと告白されたからね。そんなことされたら気にならないはずがないもの。
「まあ、あの2人がどうかより、今は学園祭に集中しましょ?アリシアは私と一緒に準備を仕切るっていう大事な役目があるんだからね」
「そうね。じゃあ、私たちもカフェの内容について色々話し合いましょう」
気を取り直して、セレーナと共に話し合った。だけど前で楽しそうに話すアランとエレナの声が気になって仕方がなかった。
◇
「──っていう事があってね……」
私はいつものようにレティアに髪をとかされながら先ほどのことについて相談した。
「まだ彼がどんな人か分からないけど、告白の内容が本当なのか、不安になってきちゃって……」
「……なるほど。では、彼の名前を教えてください。今すぐ仕留めてきます。大丈夫です、少しの間動けなくなる程度に、ですから」
と、レティアが物騒な発言をした。お兄様といい、セシルといい、どうして私の周りにはこんなに物騒な人がいるのか。
「ちょっとまってレティア!仕留めるかどうかじゃなくて、ただ聞いてほしかっただけなのよ」
「……そうですか。すみません、早とちりでしたね。それで、お嬢様はどう思ったんですか?」
「えっ……と、なんかもやもやしたというか、ちょっと嫌だなぁって」
「もやもやして、嫌……ですか」
レティアは私の言葉を反芻すると、再び髪をとかし始めた。
「お嬢様、それはもしかすると──」
レティアは何かを言いかけたところで、ふと動きを止めた。そして、意味ありげな微笑みを浮かべる。
「いえ、なんでもありません。私が言えるのは、もう少しお相手を観察して、仲を深めるということだけです」
「……そうよね。学園祭の準備で忙しいけれど、もう少し観察してみるわ」
レティアに相談して、少しスッキリした。とりあえず、今は学園祭の準備に集中しよう。
「そうだ──今の事、誰かに言ったら……分かってるわよね?」
「うぐっ、……善処します」




