9.5話:おまけ メイドたちの雑談
5話に一回くらいおまけ小説を書けたらいいなと思ってます。
ぜひ楽しんで読んでください!
アリシアから相談を受けたレティアは、冷静に返答をしながらも、内心震えていた。
(お嬢様が、告白の事について真剣に考えている……!?)
今までのアリシアだったら、告白されてもすぐに断っていた。そんな中、こんなにも真剣に相談をする姿は、レティアにとってはとても驚くべきことだった。
「ありがとうレティア、もう少しだけ彼のこと知ろうと思うわ」
「お役に立てたならよかったです。そろそろ、夕食ができる頃なので行きましょうか」
「分かったわ」
顔を赤く染めながら話す姿はとてもかわいく、レティアもつい、表情を崩しそうになるくらいだった。
(……これは、みんなに伝えるしかない)
◇
「……ということがありまして」
レティアは仲の良いメイド2人、執事2人に話の内容を伝えた。
「つまり、お嬢様が恋してるってこと!?」
「ちょっ、声が大きいですよ!誰かに聞かれたらどうするんですか」
レティアの忠告も虚しく、4人は興奮して話し始める。
「私たちのお嬢様が恋……!そんな日が本当に来るなんて!私、感激です!」
1人のメイドが胸に手を当てて感慨深く呟く。
「今までどんな人に声をかけられても興味を示さなかったあのお嬢が……!」
「嬉しいような、悲しいような……」
そう、この4人含めレティアはお嬢様、もといアリシアの大ファンなのだ。
「相手はどんな人なのかしら!」
「お嬢が真剣に考えるなんて、どんな人なんすかね」
4人は、アリシアに告白をした相手についての推測を始めた。
「まさか、王族の人とか?」
「いやいや、きっと貴族の御曹司様じゃないか?」
「もしかして、まさか平民の──」
「そこまでにしてください!」
レティアが鋭い声を上げると、4人は慌てて口をつぐんだ。
「お嬢様を大事に思うんだったら、これ以上の詮索はやめてあげてください」
4人は彼女の言葉に頷き、すこし申し訳ない顔をした。
「ごめん、レティア。そうだよな、俺たちが入る話じゃないよな」
「でも、陰ながら応援はさせてもらうわ!」
「ええ、変な人だったらカイゼル様とセシル様が生かしておくはずもないしね」
「お嬢の恋を見守るのも俺たちの仕事っすからね!」
少し物騒な言葉が入っている気がしたが、レティアはため息をつきつつも、小さく微笑んだ。
(本当にみんな、お嬢様のことが大好きなのよね)
「とりあえずこのことは内密に。特にカイゼル様に知られでもしたらお嬢様に叱られてしまいます!」
そう忠告した瞬間、ドアに何かがぶつかる様な音がした。
「うわっ、なんだ?」
執事の1人がドアを開けるとぶつかったであろう人物、カイゼル・ヴァルディアが走ってダイニングルームへと向かう姿が見られた。
「ちょっ、カイゼル様!?」
レティアの声が裏返る。5人は顔を見合わせ、同時に青ざめた。
「……もしかして、今の聞かれてた?」
「間違いないだろ。あの様子だと少なくとも後半の話は全て聞かれたんじゃないか?」
メイドの1人が震える声で呟き、執事が頭を抱えて答えた。
「まずい、これは本当にまずい!」
「とにかく、私追いかけてきます。カイゼル様に余計なことをされる前に!」
そう言うと、レティアはカイゼルが通った道を猛スピードで走った。残された4人は顔を見合わせて彼女の後をみんなで追った。
4人がレティアに追いつき、ダイニングルームの近くまで来ると、まさにカイゼルが入ろうとしている最中だった。
「カイゼル様っ、お待ちを──!」
レティアは息を切らしながら彼の背中に手を伸ばした。だがその声は届かず、カイゼルは扉を開け放った。
「アリシア……お前、好きな奴ができたって本当なのか!?」
焦った様子で叫ぶカイゼルの声が、廊下中に響き渡った。
レティア以外の4人にも名前をつけてあげたい……
誰かいい案ないですか?




