表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/19

9話:相談とシスコン

今回の話に登場するレティアとヴァルディア兄弟は結構お気に入りの子たちです。

アランが見つかると大変だろうな……

 その日の午後、私が屋敷へ帰るといつもの様に複数のメイドと執事が出迎えてくれた。


「ただいま」

「おかえりなさいませ、お嬢様。部屋にお紅茶をお持ちいたしますね」

「ありがとう、レティア」


 私に1番に話しかけるのは幼い頃から仕えているメイドのレティアだ。彼女は落ち着いていて、相談をしたら的確にアドバイスをくれる。私が心を許せる数少ない友人の1人。


「お待たせいたしました。お嬢様、今日はなんだかいつもよりお疲れですね」


 私はレティアから紅茶を受け取り、ほっと一息ついた。


「そうね、今日はすこし疲れたわ」

「何かあればいつでもこのレティアにご相談ください。力になりますよ」


 彼女はいつもの様に落ち着いた物腰で私に問いかける。


「……隣に座ってくれる?」


 レティアは頷き私の隣に腰掛ける。


「それで、ご相談とは?」

「……もし、会ってからそう長くない人に突然告白されたら、どうする?」

「そうですね、私だったら顔や家柄目当てなのかなと思ってしまいますが……」

「そうよね……急に言われても信じられないわよね。でも、彼には他の人と違って、本気……真剣だって言われて」


 レティアは私の顔をじっと見つめて何か考えてから口を開けた。


「もしかしたら、お嬢様が覚えていないだけで一度会ったことがあるのかもしれませんよ?」

「覚えていない……?」

「はい。その方が本気で想いを伝えていたなら、きっと何かしらのきっかけがあるはずです。

 お嬢様が気づいていないだけで、もしかしたら以前どこかで会っているかもしれませんね?」


 レティアの言葉は意外だけど理にかなっていると思ったが、私には思い当たることがなかった。


「でも、社交界で何度か見かけたことはあるけど、話したことはないはずよ」

「そうですか……それなら以前会ったことがある、というのも頭にいれて、その方がどんな人か観察してみるのも良いかもしれません」

「観察……?」


 レティアはそう言うと、小さく微笑んだ。


「はい。言葉だけではなく、その方がどのように友人と接して、何気ない日常の中でどう振る舞っているのか。それが、人を見極める一つの方法だと私は思います」

「そうね……」


 私は小さく息をはいた。レティアと話したおかげで、心の中のもやもやが少しだけ晴れたような気がする。


「ありがとうレティア、もう少しだけ彼のこと知ろうと思うわ」

「お役に立てたならよかったです。そろそろ、夕食ができる頃なので行きましょうか」

「分かったわ」


 レティアの言葉を胸に、私はこの後の行動を考え始めた。


 ◇


「アリシア……お前、好きな奴ができたって本当なのか!?」

「……はい?」


 私が弟と夕食を食べていると、兄であるカイゼルが息を切らせながら部屋に入ってき、急に言い放った。


「さっきメイドたちが話しているのを聞いたぞ!告白されたんだろ!?相手は誰なんだ!

 もし変な奴が俺の可愛いアリシアに近づこうもんなら、始末してやる……」


 レティア、次あったらお説教ね……

 私の兄は少し過保護(シスコン?)気味だ。

 前に知らない男の人から話しかけられた時も、その人に殴りかかっていった事を思い出した。


「お兄様、ちょっと待ってください!」


 私が頭を抱えていると、興奮しているお兄様に弟のセシルが間に入った。

 さすがセシル、お兄様を止めてくれるのね……!


「……そんな奴、お兄様の手を汚すまでもないです。俺が叩きのめしてやります!使用人、砲台の準備を!」

「セシルまで!?」


 私は思わずテーブルに手をついて立ち上がった。


「2人とも落ち着いて!まだ相手がどんな人かも分からないんだから。また脅しに行く気でしょ!?」


 お兄様とセシルはお互いに目を合わせ、何を感じたのか頷いている。


「確かに、姉さんが言うことも一理あります」

「そうだな、まずは相手の情報を集めて、弱みをにぎる方が良いだろう」


 ……私の言葉をどんな風に解釈したの


「それで、その相手の名前は何なんだ?」

「だから、ただ告白されただけよ!お兄様、セシルも!そんなこと続けたら私、嫌いになるわよ!?」


 嫌い、その単語を聞いて彼らは少しおとなしくなった。

 まるで魔法の言葉ね……


「でも、俺たちはアリシアの事を思ってだな……」


 私はお肉にフォークを勢いよく刺して、お兄様に忠告した。


「お兄様?セシル?それ以上口を開いたら、私部屋に閉じこもりますよ?」

「うっ、はい……」


 2人はしゅんと下を向いた。少し可哀想に思ったが、彼らにはこれくらいがちょうどいいだろう。


 その後、何事もなかったように夕食は進んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ