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1-16

「龍の脅威さえなければ、この原因を解析できるはずだ……なんとかなるだろうか……?」

「宮本博士はこの半年間もの雨や、日本の危機の原因を調べているのですか?」

「ああ……いや、そうではない。日本だけではなく世界中の危機なんだがね……」

 宮本博士はあらぬ方を向いた。

 ここは学園の二階である。

 すでに、一階までは浸水しはじめ人々の住めるところはなかった。三階は粉砕された屋上の瓦礫の山々で危険だった。

「もって、後一週間くらいか……」

 宮本博士は他の研究員たちに、早めに雨の原因の解明ができるようにしろと指示をだし、麻生の元へと歩いて行った。

 ぽたぽたと降る雨は、未だ振り続けているのだ。

 このままでは……。

「お嬢さん。さっきの会話はどうか内密に……」

「はい……」

 麻生はそう言うと、自分の教室へと戻って行った。

 心なしかその後ろ姿は、何かを決心したかのようだった。


 麻生は自分の今の寝床の2年B組へと戻ると、大人たちや先生を置いて、蹲るクラスメイトたちから卓登を廊下へ連れ出した。

「卓登。武たちを待つと同時に……龍をなんとかしましょ。私と一緒に」

「あの龍を? どうやって?」

 卓登はこめかみを突いて頭を振ったようである。恐らくは考える時の癖であろう。

「龍は多分、学園にいる人々が関係しているはずよ……」

「って……二人だけで?」  

 ここには、みんなの分の寝袋とインスタント食品や缶詰が至るところに散見してあり、机や椅子は全て別の場所へと取り除かれていた。薄暗く鬱屈している人々の気分は、雨の降る外を眺める人や、本を読む人たちの表情などでわかる。

 麻生は何を考えたのだろうか?

 確かに龍が襲うのは学園内の人々が関係しているが……。

 私の知っていることにも限界がある。一体何を考えたのだろう?

 そうか……龍のアギトだ。



 一方

 ここは存在しないはずの神社。

 武たちに、異変が起きたようだ。

 それは普通は三カ月かかる修練が、なんと三週間で終わったのだ。  

 これには鬼姫や蓮姫が驚いていた。

 ただし、地姫は別である。  

 高取の修練が終わると同時に、武たちが鬼姫や蓮姫の予想を遥かに上回る腕を得たのだ。

 

 ここは修練の間。その入り口付近の龍を模した木製の両開き扉の前に、 武たちが集まっていた。

 当然、武装した蓮姫と地姫も鬼姫もいる。


 すでに湯築と高取の番が終わっていた。

 次は武の番である。


「あなたは強いわ」

「武。頑張ってね!」

「ガンバです!」

「無理せずです!」

「武様は史上最強ッスよ!」


 高取と湯築。それから三人組が応援し、武は鬼姫と修練の間へと扉を開けた。


 武は間の中央で、木刀を構え、真剣の鬼姫と最後の手合わせをした。

 武は木刀を構えると同時に一振りした。そこから生まれた風圧が鬼姫の脇を薙ぐ。その拍子に鬼姫の 後ろの灯籠の火が全て消えた。

 間の周囲の生暖かい空気が一斉に震えだした。

 目を見張った鬼姫はバランスを失い。負けじと刀を構えるが、寸でのところで武の踏み込みが速かった。

 武は踏み込みから、バランスを失った鬼姫の首筋に寸止めで、木刀を押し当てていたのだ。  

 これには鬼姫もたまらず小さな悲鳴を上げた。

「お……お見事です……武様」

 鬼姫は真っ赤な顔になって、やっとそう言った。

 その直後、鬼姫は武に口付けをしていた。

 無意識のうちだったのだろう。

 致し方ない。


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