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「ええ、この地球上では誰も知らないでしょうね。あ、宮本博士。すぐにあのべっぴんの巫女に知らせないと。あの巫女の名前は……知っていますか?」

 この一室は、研究員たちが竜宮城をやっと発見したと口々にジョークを飛ばし、笑いながら言い合っていた。無理もない。数年間も続いたのだから……。

 ビーコンの反応は主に交通や船舶とのやり取りとして使われている。双方向通信をするためであったが、NASA特製のビーコンは、その反応の距離は尋常ではないのだ。不思議ではあるが地球の海の中の渦潮から、遥か彼方の銀河へと空間が繋がっているのである。

 やはり、それぞれのリンクしたパソコンのディスプレイに映る巨大な渦潮は、驚くべき速さで広がっていた。


 渦潮の中から巨大な龍としかいいようのない生き物が数匹でてきたのを、真っ青に見つめている宮本博士は、独りごちた。

「あの、巫女の言う通りだ……」


 今まで、呑気にドーナツを齧っていた小太りの研究員が思わず口を開けてドーナツを床に落としまった。

「古生物反応って、魚影じゃなくてあの龍ですね……。夢の中みたいで信じられないですが……。でも、あれから数年もかかったんですねー。聞いたことのない神社から一人の巫女が来て、なんでもお偉いさんたちとも仲が良かったんで、びっくりしちゃいましたが、あれよあれよとその道の権威の生物学者や考古学者の私などの研究者たちが集まって……一大プロジェクトの出来上がり……宮本博士はあのとびきりの美女の巫女のこと知ってますか? 電話番号とか? まさか名前すら知らないとか?」

 宮本博士は頬を膨らませた。

「ないんだよ。まったく……今まで一度も見たり聞いたりしていないんだ……名前すらね……残念だがね……」

 宮本博士は平静な顔で首を振りながら言った。

「そういえば、宮本博士は確か妻子持ちで……愛妻家でしたね……」

 そうこうしていると、床に落としたドーナツを屑籠に捨てていた小太りの研究員は、ハッとして端末に目を戻した。


 一斉に、他の研究員たちが驚愕した。



 そこには……。


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