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ドラゴンさんからの贈り物

 戦闘が終結した四人と一匹は話し合いをすることになった。

 マリアが王国が魔族に落とされたこと、魔王が復活しそうなこと、エルフに断れたことを話し、ドワーフの国へ協力を求めに来たことを説明した。


「12年前、我はここを留守にしていたが、人族が魔王を封印したことは後からドワーフの王に聞いたわ。我にかかれば魔王なぞ相手ではないが、我は人族と魔族との関係には関与せんから、我がいても関係のないことだったの。しかし、今回は我にも思うところがあるから、ちぃとばかしお前さん方に手をかしてやってもよいぞ」


「なんじゃい、その思うところというのは」


「まぁ、魔王と戦っておればいずれ分かるじゃろ。たいした事じゃないが、ちぃと懲らしめてやらないなんのでな」


「ではそれは置いておくとして、どんな手助けをしてくれると言うんじゃ?」


「我が直接手を出すのも大人気ないから、ここにある物をいくつかくれてやるわい」


「なんと、ドラゴンの宝を譲ってくれるというのかい!それはありがたい」


 マリア達はグルニバラの申し出を聞いて大変に喜んだ。


「まず、そこの褐色の小娘。お前は踊り子じゃろ。ならばそこにある赤いブレスレットをくれてやろう。新しい魔法が使えるようになるはずじゃ。踊り?我が踊れるはずはなかろう。自ら習得するんじゃ」


 チッタはグルニバラからブレスレットを受け取ると、


「あ、ありがとう、ご、ございます」


 と言い、その右腕にブレスレットを着けた。


「次に小僧」


「は、はいっ!」


 ペーターはやや上ずった声で返事をした。


「そんなに緊張せんでよい。食ったりはせんから。お前、ほとんど魔力がないな。それにその体格じゃ、剣を与えても役に立つまい。そんなお前にはこれじゃ」


 そう言うと一枚のマントを渡した。


「これは姿隠しのマントじゃ。空気の屈折を変えるだけだから、魔力もわずかでするからお前にも使えるはずじゃ。ただし見えなくなるだけだから気を付けて使うんじゃぞ」


「見えなくなるだけでもすげぇや!ありがと、グルニバラさん、大事に使うよ」


 早速マントを羽織り姿を消そうとしたがうまくいかず、「魔力のこめ方はそこの婆さんに教わるといい」と言われた。


「次にその生意気な小娘。お前さんには何もいらなそうじゃな」


 自分は何がもらえるのかワクワクしていたシオンはがっかりし、


「なにそれ、ひどい、チッタとペーターにはくれといて私にはなにもくれないの!!」


 シオンはプンプン怒りながらグルニバラに詰め寄った。


「やれやれ、我はこれでもドラゴンなんだぞ。ちょっとは敬意を払わんか。しかし、お前さんには十分魔法の素質があるから、ここにある道具に縛られんほうがいいじゃろ。まぁいい、それじゃ、好きなものを一つ持っていくがよい」


「ありがと、ドラゴンのおじさん」


 シオンは機嫌を直し、宝の山へ向かった。しばし迷った挙句、緑色のブローチを選んだ。


「ほう、それを選ぶのか・・・」


 グルニバラが意味深に言うと、


「え、なになに、このブローチはどんな力があるの?」


 ブローチをクルクルと回転させ、様々な色の変化を楽しみながら聞いた。


「いや、何も力はない。ただのブローチじゃ」


 グルニバラは即答した。

 すこし残念そうにしたが、美しく輝く緑のブローチをながめ、満足すると「ま、いっか」と言いそれを胸につけた。


「さて、婆さん。お前さんはどうしたものかのぉ。おぬしは我を攻撃したからのぉ。」


 グルニバラはすこし意地悪にマリアに言った。


「そんなこと言ったって、普通の人間はドラゴンが攻撃したら反撃するもんでしょ」


 グルニバラの威圧に慣れてきたマリアはややいつもの口調で反論をした。


「ははは、冗談じゃよ。お前さんにはそこのスクロールの束をやろう。薄汚れて汚いからまとめてくれてやる。さっき使ったのもどうせとっておきだっだんじゃろ。」


 たしかに重力魔法は使い手が少なく、さらにそれをスクロールにまで落とし込めるとなるとかなりの術者でなければならない。ドラゴン退治ででもなければちょっとやそっとでは費用対効果の点から使えるようなものではなかった。

 スクロールの束には大小さまざまなものが混ざっていた。現代魔法語で書かれたものから古代魔法語のもの、初級魔法から最上位魔法までマリアが今まで見たことも聞いたこともないようなものまで含まれていた。


「いいんかい、こんなにもらって」


「ああ、構わないとも。スクロールは宝石、金貨と違って美しくないかなの。それにそのスクロールの魔法くらいなら我は単独で行使できるからな、ははははははっ」


 洞穴内にグルニバラの笑い声が反響した。

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