おっきいカエルさん
湿原はストーン・ゴーレムにとっては難なく歩くことが出来た。足元はかなりぬかるんでいたが、ゴーレムの力強い歩みは平地を行くがごとくであった。マリアはゴーレムの後ろを魔法の箒ならぬ魔法の木の枝で低空飛行でついてきていた。
湿原には所々に岩や木々が生えているだけで、見晴らしはよかった。時々南の山脈から吹き降ろしてくる風にさらされながらも順調に進行した。
1日の行程も無事に済み、野営の準備を始めた。シオンがいつものようにストーンドームを作ると、マリアとペーターが食事を作り、チッタが癒しの踊りで疲れを癒すと、みな眠りについた。
月が天高く上り、四人と一匹がぐっすりと眠っている所に、
ズッシーーーーン!!
と、いきなり大音響と振動とがストーンドームを襲った。
「な、なんだいっ?!」
マリアは飛び起きたが、
「ふぁぇ?どうしたのぉ~」
と、シオンは半分寝ぼけた状態で起きた。
ペーターとチッタも衝撃で起き、コトラはドームの入り口に向かってうなっていた。
外では爆発音と何かが地面に叩きつけられる音が繰り返しし、再び、
ズッシーーーーン!!
と、大音響と振動とが襲った。
「サンちゃん、ふうちゃん、どーしたの?」
眠い目をこすりながらシオンがドームから出たが、1・2歩歩いたところで、何かにつまずいて勢いよく倒れてしまった。
「シオン、大丈夫かい」
マリアが駆け寄った。シオンは顔面を打ったのか顔をさすりながら「痛~い」と言いながら起き上がった。
周囲は暗闇で、明かりと言えるのは雲に隠れている月と、炎を纏ったサラマンダーの体のみであった。
「うら若きウンディーネよ、その慈悲の心で世界を照らしたまえ、ライト!」
マリアが天に手をかざしそう唱えると、宙に光る水の塊が出現した。
急に出現した光源に一時的に視力を奪われたが、徐々になれてきたシオンは今しがた自分が躓いたものを見た。
「きゃーー、カ、カエルーーっ」
足元には巨大なカエルが転がっていた。その大きさは並みの大カエルではなく延ばせばシオンと同じくらいにはなるであろう巨大なカエルであった。
「あ、わ、わ、」
シオンの隣では巨大なカエルに驚き、腰を抜かしたマリアがいた。
「わ、わしは、カエルが苦手なんじゃ・・」
マリアは震える声を出しながら、なんとか立とうとしたが、なかなか立ち上がることができなかった。
「なんだい、マリアさん、カエルが苦手なんかい」
後ろからペーターがやってくると、マリアを引きずってドームの奥に引きずりいれた。
シオンは驚きながらも周囲を見渡すと、同じようにあちこちに巨大なカエルが転がっていた。シオンは恐る恐る外へ出てみると、赤い炎を身にまとったサラマンダーがドームを飛び越え、シオンの前に着地した。
次の瞬間、シオンの前方に黒い塊が落下してきた。
ズッシーーーーン!!
先ほどと同じ衝撃である。今は明かりがあり、その正体を見ることができた。
「カ、カ、カエルーーー!」
そこに現れたのは大きなカエルだった。その大きさは先ほどの巨大カエルの比でなく、ストーンドームよりも大きい、体長5メートルはあろうか、超巨大カエルであった。
サラマンダーは超巨大カエルに向かって炎を吐くと、再び跳躍して距離をとった。それを追うがごとく超巨大カエルも跳躍した。
炎はカエルの体表に当たりはするが、体表を覆っている粘液が蒸発するだけで、本体にはなんらダメージを与えることは出来なかった。
上空にはシルフのふうちゃんがいた。シルフは先ほどから巨大なカエルに暴風をぶつけ、その巨体を空中に巻き上げると勢いよく地面に叩きつけていた。あらかた巨大カエルをやっつけると、超巨大カエルい向かって、全力の暴風をぶつけた。しかし、シルフの力ではその巨体の重量を持ち上げることが出来ずにいた。
「シ、シオン、なんとかおしっ」
マリアはドームの入り口の側まで来ると、外にいたシオンに言った。
ペーターは奥に立てかけてあった弓を手に取ると、ドームの外へ出て超巨大カエルに向かって矢を打った。
ペーターの放った矢は命中はするものの、粘液に阻まれカエルに刺さることはなかった。
その間も、サンちゃんとふうちゃんがあちこち移動し、時間を稼いでいてくれた。
「わ、わ、わ、どうしよう。お願い、当たってっ!」
シオンの手からファイヤーボールが放たれた。
超巨大カエルの背中に命中すると、大きく弾け飛んだ。光と衝撃波とでそれなりのダメージを与えたかに思った。しかし、超巨大カエルはケロッとしており、少し動きを止めると視線をシオンの方に向け、その長い舌をペロッと出した。




