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集落だ

 それから数日が経過した。

 シオンの放つバレットは相変わらず少し大きめだが、1分かかっていたファイヤー・バレットも3秒ほどまで短縮することが出来るようになった。これは中級以上の魔法使いの標準的なスピードで実戦には充分使えるほどの速さだった。マリアはこれを一応及第点としたが、より小さく、より早くすることを要求した。

 道中、たんぱく源となる肉や魚の確保はシオンが勤め、植物採取はペーターの仕事だった。生まれ育った環境から、自然に生えた植物が食べられるか食べられないかを判断するするのに長けており、食用や薬用の草やキノコを集めていた。

 一週間ほど森を進んでいると、とつぜん目の前が開けた。


「やった、お家がある!」


 シオンは森から飛び出し、集落に向かって走り出した。マリアが止めようとしたがタッチの差で間に合わず、シオンは集落へと入っていった。

 集落は中央に広場があり、そこを囲むように10件ほどの家があった。しかし、集落に人影はみられず、あたりは静まり返っていた。集落はあちらこちらで争った形跡がみられ、家も扉が壊されていたり、屋根が焼かれたりしていた。


「あのー、だれかいませんかー」


 シオンが広場の中央で叫んだが、何も反応は無かった。しばらくするとマリア達も合流した。


「こりゃひでぇな、魔物と戦ったのか?」

「そうだろうね。あいつらは容赦ないからね。村の人たちはみんな死んでしまったのかね」


 ペーターとマリアが話していると、後方から小石が飛んできた。石の飛んできたほうを振り向くと民家の扉が少し開いており、そこに人影がみえた。


「おや、あそこにだれかいるようだね」


 マリアに促され、一同はその民家の前に移動した。


「あ、あの、今すぐここから出て行ってください」


 扉の中から女の声がした。


「ねぇねぇ、どうしたの?なんで誰もいないの?おばさん誰?何をしているの?」


 空気の読めないシオンに割って入りマリアが聞いた。


「どうしたんだい?何があったんだい?」

「ま、魔物達が急にここにやってきて、男たちを皆殺しにして、私たちには奴隷になるよう言いつけたのです。今、魔物達は他の集落に行っていていませんが、いつ戻ってくるかわかりません。早くここから去ってください」


 女は声を震わせながら答えた。


「ほう、魔物が襲ってきたと。それにしても女子供を残すなんてことするかね?」

「本当です。魔物の群れが襲ってきたのですが、その中のリーダーらしきモノが人の言葉をしゃべって、魔物達に従うように言ったのです。それに反対した主人たちは魔物に殺されてしまい、私たち女子供に奴隷になって仕えるように言ったのです。私たちはそれに従うしかなく家の中でおびえながら指示をまっているだけなのです」


 女の声は震えていたが、嘘を言っているようではなかった。


「人の言葉を話す魔物、おそらく上級魔族だね。やつら人間を奴隷にしておるのか。お前たちを助けてやりたいが、大人数ではおそらく逃げ切れまい。ここはしばらく耐え忍んでおくれ。いずれ私たちが助けてやるからな。」


 マリアは女を励ますと一同に言った。


「さて、ここに長居しては迷惑になりそうじゃ。とっとと出発するよ」


 荷物をまとめ、出発の準備をしている所に集落の外から大声がした。


「お前たち、何をしているっ!」


 低く響き渡る声は馬上の主から聞こえた。銀の鎧を身にまとい、手には槍をもつその者はトカゲの頭をしていた。その周りには10匹ほどのオークと、数匹のダイアウルフがおり、集落の入り口から広場の方へと近づいてきた。


「まずい、お前たち逃げるよ」


 マリアはそういうと魔物とは反対方向へと走り出した。他の三人もそれに続いて走り出したが、


「ねぇねぇ、やっつけちゃだめなの?」


 と、シオンが聞いた。


「ここで戦ったらあの人たちに被害がでてしまうだろ。とりあえず集落の外まで逃げるよ」

「うん、わかった。戦わなければいいんだね」


 そう言うと、走りながら体をよじり後方に向けると右手を差し出して言った。


みんな、(トリプル・)吹っ飛べ(ウインド)!」


 シオンの右手から三筋の空気の渦が魔物たちを襲った。

 ダイアウルフと数体のオークは空気の渦にのまれ後方へと吹き飛んで行った。しかし馬上のトカゲ頭とその他のオークはその場に踏みとどまった。


「ありゃ、勢いが弱かったかな」

「バカっ、何やってるんだい。挑発するんじゃないよ」


 予想通りトカゲ頭は怒り心頭となった。


「&’)%#&’(+*‘?’&%%」


 人には聞き取れない言葉を叫んだ。すると残されたオーク達は一斉に走り出し、シオン達を追いかけてきた。


「ほら、ごらん。何が何でも捕まえようとしてきたよ。何か障害物でも出しておくれ」


 マリアに言われ、走りながら考え唱えた。


盛り上がって(グランド・ライズ)!」


 シオンの後方の地面が盛り上がり、3mほどの丘が出来た。不意にできた勾配にオーク達は足を取られ、一時的に速度が落ちた。しかし丘を下ると再び速度をあげ、じわじわを距離を詰めてきた。


「それでいいから、たくさん作りな」


 そう言われ、シオンはグランド・ライズを連発し、デコボコの多い地面を作り出した。魔物たちがてこずっている間に集落から離れ、ある程度距離を取ることが出来た。

 四人は止まると、息を整えた。


「さぁて、いつまでも逃げ切れないから、ここいらで退治しようか」


 マリアは魔物に向かって杖をかまえた。

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