王都へ
ダレンとの戦いを制したシオンは、コトラやペーター達の治療を行った。全員の治療を終えたころには日も落ち、夕闇が迫っていた。回復した人たちは洞窟の奥から食料を持ち出して夕食の支度をしたり、寝床の準備をしていた。
「お嬢ちゃん、助かったよ」
「お嬢さん、すごいね」
助け出された人達が変わるがわるシオンの元へ礼を言いに来た。山賊の仲間達は全員縄で縛られ荷馬車の荷台に乗せられた。
「俺たちは明日、明るくなったらこいつらを連れて街に戻るが、お嬢さんたちはどうするんだい?」
集団をまとめてくれていた男が言った。
「私、ジジのお使いで王都へ行かなくちゃいけないんで、あっちに行きます」
そういうとシオンは南の方を指差した。
「そうか、まだ危険な輩がいるかもしれないから気を付けなよ。あっと、でもお嬢ちゃん強いから大丈夫か。おまえ、しっかりこの子を守るんだよ」
男はペーターの背中をおもいっきり叩いた。
「も、もちろんだよ。こいつは俺がいないとまともな食事もありつけないんだからな」
そういわれるとシオンは頬膨らませむっとしたが、場には笑いが起きた。
夕食も済み、一同寝る準備を始めた。やはり洞窟の奥にあった盗賊たちの毛布などを持ち出し、皆で分けあった。シオンとペーターは集団の端の方に並んで横になった。
「あ、あ、あの、もしよろしければ、私も連れて行ってくださいっ」
人影はチッタだった。褐色の小さな体を小刻みに震わせながら二人に頭を下げた。
寝入りばなだった二人はもぞもぞと起き上がるとチッタを見た。
「ふぇ、あ、チッタちゃん。もちろんいいよぉ。いっしょに行こうよ」
目をこすりながらシオンが答えた。
「え、え、いいんですか。ありがとうございます」
「えぇ、なんで、チッタちゃん、もちろんいいよ。友達になれそうだからいっしょに行こうよ」
「あ、ありがとうございます。私、なんでもしますからよろしくお願いします」
感謝のお礼をいうと、チッタは二人から少し離れたところで毛布にくるまり横たわった。
翌朝、天気は快晴だった。一同は朝食を取ると、出発の準備をした。
「じゃ、お嬢さんたち気を付けるんだよ」
「はい、おじさんたちも気を付けてくださいね」
馬車の一団はシオン達三人に別れをつげると、隊列を作り山道を下っていたあ。
「さて、これからどうすっかな。王都までまだ大分あるぜ。道中物騒そうだしな」
王都の方を眺めながらペーターが言った。
「そうだねぇ、どうしよっか。」
シオンもはるか王都の方角を眺めて言った。
二人が話をしている間、チッタは荷物をまとめ、背中に背負っていた。
「あ、あの、お荷物でしたら、私が持ちます。ほ、ほら、見てください、全部入りましたよ」
と言って、背中のバックパックを見せた。
「そんな、チッタちゃんに荷物を持たせるわけにはいかないよ。荷物はペーターに持たせればいいよ、男の子なんだから。あ、ちょっと待って、いい事思いついた」
隣で荷物持ちにさせられたことに抗議するペーターを横目に、シオンは二人から少しはなれた。
「ゴーレムちゃん、出ておいで」
シオンが言うと、地面が徐々に盛り上がり、やがて身長5メートルのストーンゴーレムが姿を現した。
「この子に荷物を私たちを運んでもらいましょ。そうすれば楽出来るよ」
シオンはにこにこしながら二人に向かって言って、ゴーレムの肩によじ登った。




